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中村桂子のちょっと一言

館長の中村桂子が、その時思うことを書き込むページです。月二回のペースで、1998年5月から更新を続けています。

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【M.リカールさんの会へのお誘い】

1999.5.1 

 4月1日に下のようなお知らせをしましたが、日が近づきましたのでまた呼び戻してもう一度お知らせします。通訳の方も来て下さいますので日本語で大丈夫です。
 5月21日(金)の午後1時頃から、BRHにマチウ・リカールさんがいらっしゃって話し合いの会を持ちます。と言ってもこの方のお名前を御存知の方は多くないかもしれませんが、興味深い経歴の持ち主です。1946年、フランス生れ。パストゥール研究所で分子生物学者F.ジャコブ(ノーベル医学生理学賞受賞者)の指導下博士号を取得し、研究員としての道を歩み始めました。ところが、現代科学が人間とはなにかを知る最もよい方法であるか、いや西欧の思想がそもそもそのためのよい道を示しているかという問いを持ち、26才の時にインド、ブータン、ネパールなどに住んで仏教の勉強をし、33才で仏教僧になります。今はダライ・ラマの通訳としても活躍しています。
 「僧侶と哲学者」という哲学者である父親との対談があります。父親は科学者としての息子の未来を期待していたのに不満のようです。父親が西欧の思想・科学の重要性を説くのに対し、彼が元科学者としての合理的精神を持ちながらチベット仏教の教える精神の本質究明に向っていく姿を対比させると興味深く、正直に言って、息子の方が勝ちかなと思わせます。
 科学を否定して、宗教だ、東洋だと言っても何も新しい方向は出てきません。科学と仏教の両方にしっかりと脚を置いたフランスの人。彼の話を聞いてみたいとお思いの方があったら、お問い合わせ下さい(TEL 0726-81-9796)。BRH内での話し合いですので、あまり大勢は無理ですが。リカールさんはとくに科学を勉強している若い方と話したいと言っています。

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