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中村桂子のちょっと一言

館長の中村桂子が、その時思うことを書き込むページです。月二回のペースで、1998年5月から更新を続けています。

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【ちょっと宇宙が続いています】

1999.9.15 

 先回毛利さんの話をしましたが、昨日久しぶりに向井千秋さんに会いました。アメリカから科学技術政策担当の議員団が訪日し、日本の科学者と懇談したいということでアメリカ大使館での小さな食事会があり、そこで御一緒しました。宇宙での研究は気軽にできない。向井さんが日本人としては初めて2回宇宙船に搭乗して実験ができたのは幸運で、成果をあげたわけですが、次の機会がすぐに与えられるかどうか、なかなか大変でしょう。宇宙における科学という新しい分野を今後どう進めていくか真剣に考えなければいけないというのが彼女の認識です。宇宙での実験を宇宙に限ったことと考えず、地上の科学とも結びつけて考えたいというので、ゆっくり話し合いましょうということになりました。宇宙、地球、生命はつながっているのですから。
 科学に巨大なお金がかかる時代、しかもそれが税金でまかなわれる時代、・・・・・研究者も眼の前の小さな課題だけを見るのでなく(これが活動の基本であり、その重要性は言うまでもありませんが)、社会における科学の意味をきちんと考えることがますます大事になってきています。生命誌研究館の活動が、その中である役割をしていけるようにしたいと思っています。科学の本質を伝え、科学や社会のこれからを考える場が研究館ですから。

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