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中村桂子のちょっと一言

館長の中村桂子が、その時思うことを書き込むページです。月二回のペースで、1998年5月から更新を続けています。

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【ちょっとひとこと】

2001.1.15 

 暮れにひいた風邪の性質が悪く、2週間ほど咳と鼻水に悩まされました。薬を飲むと暫くとまるのですが、まもなく再開。年始めにお会いした、某大学の内科教授が " それはしつこいですよ。僕も悩まされました " とおっしゃっていたので、まあしろうとがジタバタしない方がよいのでしょう。なぜかこのところ毎年、お正月になると風邪という貧乏性を代表するパターンをやってしまいます。ウイルスなど病原体の方が人間より上ということを認めて、ゆっくり休むのが正解なのに、つい " 戦って勝ってやろう " などと思ってしまうのがいけません。沖縄サミットでも議題になり、科学技政策の中でもバイオサイエンスの重要課題の一つとしてとりあげられているのが「感染症」です。一時期感染症などもう研究の必要がないという雰囲気もありましたが、とんでもない。薬剤耐性菌は出てくるは、新しいウイルスは登場するはで大変です。しかも世界で見ればエイズ、マラリア、結核を主とした感染症での死亡が死因の三分の一を占めていると聞いて、微生物のしたたかさを感じないわけにはいきません。いまだに鼻をグズグズしながら、まさに生き物の歴史と関係の中、つまり生命誌の中に生きていることを実感しています。
P.S
元旦のひとことに対して、何人かの方からお誕生日おめでとうのメッセージをいただきました。ありがとうございます。本当は " おめでたい " という域を出ているんだけどなと思う気持ちもありますが。

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