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中村桂子のちょっと一言

館長の中村桂子が、その時思うことを書き込むページです。月二回のペースで、1998年5月から更新を続けています。

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もし国連にいたら

2015年6月15日

高校三年生になって初めて将来どんな方向へ進もうかと考えました。それまではまったく何も考えずにただ毎日を楽しく暮らしていたのですが、大学進学には学部を決める必要があると先生に言われ、さてどうしようと思ったのです。実は最初に考えたのは、国際機関ではたらいてすばらしい世界をつくろうということでした。世界中の人が仲良く、あらゆる国が豊かで幸せになる世界を夢見てのことです。もう一つが化学の先生に憧れてあの先生のようになりたいと思って考えた理学部。実は第一の希望は、ある試験を受けた時の面接官たち(全員男性)に、女の子がそんなことを考えても社会が受け入れないと強く諭され止めました。今考えるととんでもないことを言われているわけで、ここで疑問を呈し、頑張るのが普通でしょうが、私はそういうところがダメなのです。でも、おかげで今の仕事を楽しめているわけですから、何が幸いするかわからないものだと思います。もし国連にいたら、好きなことがやりたいなどと言ってはいられないでしょう。大きいところは苦手、小さいところが好きという性質ということもわかりましたし。それにしても、第二次大戦後にもう二度と戦争はしないぞ(というよりできないぞ)という多くの人の思いでつくられた国際連合を初め、国際機関がもっと機能して欲しいという気持は、今も強く持っています。

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