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ラボ日記

研究セクターのスタッフが、日常で思ったことや実験の現場の様子を紹介します。
月二回、スタッフが交替で更新しています。

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【分子生物学会での口頭発表】

尾崎克久

 メインの研究発表の場として活動している分子生物学会で、今年はワークショップでの口頭発表の機会を与えられるという栄誉に預かりました。発表の形式にポスターと口頭の二種類ありますが、ポスター発表は申し込みに不手際がなければ基本的に発表が可能なのに対し、口頭発表はワークショップなどの企画者による選別があるので、どちらかというと口頭の方が“格上”というイメージがあります。今回の持ち時間は20分、その内訳としては発表に17分、質疑応答に3分ということになっていました。生命誌研究館に所属してからの4年間の成果を、集まった方に一通り聞いていただこうと持ち時間の割には詰め込み過ぎた内容でしたが、発表終了後にお話をさせていただいた方のご意見を伺うと、まずまずの好評だったのではないかという手応えを感じました。
 ポスター発表の場合、発表を聞いていただいた方と直接お話ができるので、踏み込んだ議論もできるし、内容に対する手応えも直接感じることができますが、口頭発表では、聴衆の睡眠率である程度反応をはかることはできるとはいえ直接には感じにくくなってしまいます。実はこのような理由でポスターの方が、個人的には好みではあります。では、口頭発表にメリットがないのかというと、そのようなことはありません。今回の場合、目測で100人弱の参加者が会場に居らしたようですので、短時間でたくさんの方に発表を聞いていただくことができました。ポスターでは、一日中そこに居たとしてもこれほどの人数の方に聞いていただくのは簡単ではありません。また、時間が限られているものの、質疑と応答の内容を会場に居る方全員と共有することが可能です。ポスターの場合でも、多くの方に説明していると繰り返し出る質問がありますので、何度も同じ説明をしなくてはならないこともよくあります。
 では、口頭発表とポスター発表を選択できるとしたら、どちらを選ぶかというと、やはり口頭発表を選びます。その理由は、上で挙げたメリットが、反応を感じにくいという寂しさを上回るからです。それに加え、実は準備も発表自体も個人的にはポスターより楽でした。次回以降も口頭発表に採択していただけるように、今まで以上にしっかり研究しようと思いました。



[昆虫と植物の共進化ラボ 研究員 尾崎克久]

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