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ラボ日記

研究セクターのスタッフが、日常で思ったことや実験の現場の様子を紹介します。
月二回、スタッフが交替で更新しています。

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【リニューアルの季節なんです】

中 秀司
 今年の冬は妙に暖かい日が多く、2月に桜が咲いてしまうんじゃないか、(これは虫屋の世界の話ですが)2月中にギフチョウが顔を出すのではないか、という話をよく聞きました。ふたを開けてみれば、3月に寒の戻りがあったお陰?で、桜もギフチョウも概ね平年通りの経過をたどっているようです。
 BRHの敷地内の桜も盛りを終え、若葉の季節がやってきました。
BRH4階のΩ食草園に植栽されている蝶の食草たちも、一斉に芽が吹き始めました。
ミカン イヌビワ アワブキ
【ミカン (Citrus spp.)】
アゲハチョウの仲間の食草です。食草園ではよくナミアゲハの幼虫が見られますが、昨年はナガサキアゲハが育ったようで、今年の春には、食草園で蛹化した越冬蛹から無事に羽化しました。
【イヌビワ (Ficus erecta )】
生命誌研究館ではイヌビワコバチの研究用に植えられていますが、イシガケチョウの食草でもあります。近くの山にはイシガケチョウが生息しているらしいので、食草園にも来ないかなあと思っています。
【アワブキ Meliosma myriantha
スミナガシとアオバセセリの食草。スミナガシはある程度まとまった森林がないと生息しませんが、アオバセセリは高槻周辺の山には多く見られます。秋には平地にも下りてくる蝶なので、いつかこの木を使ってくれよと願っています。

 年3回行われる「研究室見学ツアー」では、私は食草園の説明を担当しています。食草園にある蝶の食草や吸蜜植物を前にしながら、蝶と植物の関係について説明をします。ひとしきり説明を終えたら、ツアーに参加された一般の方々からのご質問に答えるのが恒例となっていますが、すぐに回答できるものもあれば、調べないと回答できないもの、全く思いもかけない鋭い質問などもあります。
 研究室見学ツアーを通して、一般の方々が想像以上に昆虫に興味を持っており、また多くの疑問や質問を持っていることを学びました。また同時に、そのような疑問や質問に対し、我々研究者側が解答を提示し、新たな知識を提供できる場は非常に限られている事にも気づきました。
 さて、私が所属する日本応用動物昆虫学会(応動昆)は、昆虫系の学会では日本最大級の会員数を擁しています。この学会では、「応用」動物昆虫学会の名前とは裏腹に、昆虫の分類や生態・生理に関する基礎的な研究を行う人から、害虫防除・昆虫資源の利用といった極めて応用的な事柄を扱う人まで、昆虫を研究材料とする様々な人が所属しています。
 この応動昆では、学会の活動内容の一つに一般社会への貢献を挙げ、様々な形で動物 学・昆虫学の成果を一般社会に還元すべく活動をしています。
 その一環として、今年の3月末に応動昆電子広報委員会が管理する応用動物学・応用昆虫学のポータルサイト「むしむしコラム・おーどーこん(略称『むしコラ』)を公開しました。このサイトは、学会員以外の一般の方々に最新の研究成果や学会員の活動を紹介するとともに、日頃疑問に思っている虫たちの「?」にプロの研究者が分かりやすく解説することを目的としています。
 幸運なことに、私はこのサイトの作成・運営に構想の段階から関わる事ができました。サイトのXHTML/CSSをコーディングするのみではなく、サイト構成やコンテンツの様々な部分に私の意見を取り入れてもらう事ができました。
 科学全般を扱うサイトには、色々なサイトがありますが、動物学・昆虫学に的を絞ったポータルサイトは初の試みではないかと思っております。まだ駆け出しですが、より魅力的なサイトを目指していきたいと思っています。
 また、昨年3月には、応動昆の公式サイト(http://odokon.org/)もリニューアルを果たしました。私はこのリニューアルにも携わったのですが、新規公開から1年経ち、多くの方々から激励の言葉を頂く事が出来ました。
 リニューアルといえば、食草園が大リニューアルを果たします。食草園ができてから4年が経ち、やせてきた土を新しいものに入れ替えるのを機に、園内の植物構成や配置を見直すことになりました。SICPの今村さんが中心になって「新しい食草園」の全体像を練っておりましたが、ようやく企画がまとまり、今月末に食草園の大工事を実施する運びとなりました。
BRHにお立ち寄りの際には、「新しい食草園」も是非見て下さい。


[昆虫と植物の共進化ラボ 中 秀司]

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