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ラボ日記

研究セクターのスタッフが、日常で思ったことや実験の現場の様子を紹介します。
月二回、スタッフが交替で更新しています。

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【卵の発生異常は意外に多い】

小田広樹
 私たちのラボではオオヒメグモを使って、“動物のからだの形が如何にできるか”を研究しています。“なぜそのクモを使うのか”という質問はよくあって、卵をたくさん産むことや観察がしやすいことなど、オオヒメグモの利点をいろいろと主張することになるのですが、実は、ちょっとやっかいな欠点もあります。それは、何もしていないのに異常な形に発生してしまう卵が多くあることです。卵のうにたくさんの、外見上きれいなつやつやとした卵が産み落とされても、その中のほとんどの胚が全く形をなさないときもあります。そんなのではちゃんとした実験なんてできないじゃないか、という声も聞こえてきそうですが、このような異常は多くの場合、親に依存しているので、最初に異常卵をたくさん産んだ親を実験に使わないようにして問題を回避しています。つまり、卵の厳しい品質チェックを常にしなければならないということです。
 おもしろいのは、野外からとってきたばかりの野性味あふれる雌グモが正常な卵をたくさん産むというわけでは必ずしもなく、長年(3年以上)世代を重ねて飼い続けているクモでも、“品質のよい”卵をよく産んでくれます。ラボの環境に適応してきてくれたのか、実験の効率をあげるためにもありがたい話です。




[ハエとクモ、そしてヒトの祖先を知ろうラボ 小田広樹]

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