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発生学 ニワトリ 近畿
  ホネがさかさまにはえてきた・・・
顔写真
氏名   青山 裕彦
name Hirohiko Aoyama
e-mail Hirohiko.Aoyama@ims.brh.co.jp
住所1 JT生命誌研究館
住所2 〒569-1125 大阪府高槻市紫町1-1
telephone 000-0000-0000
facsimile 000-0000-0000
住所3
あおやま・ひろひこ/
岡田節人、竹市雅俊両師のもとで、おたがいが接着する細胞と、バラバラでいる細胞との間で雑種細胞をつくって細胞接着の仕組みを知ろうとしたのが研究生活のはじまり。生き物は細胞から、という視点ができてしまいました。
給料をもらうようになったのは福井医科大学解剖学講座(野条良彰教授・渡辺憲二助教蒸)で。そこで人体解剖学実習に携わり、様々な組織、器官が組み合わさってできている有機体としての生き物の構造にかなりなじめるようになりました。ヒトの体は、肉眼で観察できる従分な大きさがあり、また見たものを自分の体で確かめられるものも多く、生き物の形をまさに実感できました。さらには、ひとつの人生を終えられた方々のご厚意のおかげで、物体としての体と、よくわかりませんが少なくとも私自身ももっているはずの命とを不可分の形で体感できたのは幸いでした。

 その間にフランスの発生学研究所(Nicole Le Douarin所長)のJean-Paul Thiry主任研究員のもとで、神経堤細胞の接着と移動について培養系を用いた研究を行い、そのかたわらニワトリ- ウズラキメラ胚づくりに代表される微細剰術を盗み見ていました。彼らの、例え他人が同じ様なことをしていようと、自分は自分として突き進み、結局独自の仕事にしてしまう力強さはお手本にしたい、しかし、あのような大食漢になれない私はやはりわびさびの世界の住人かとも思っています。わたしが今やっているホネの形づくりの研究では、力強いわびさびをめざしていくつもりです。
科学者の責務は、本当に面白いことを探し研究することです。(なかなか見つからないのですが...)もしかしたら、それは明日にでも実生活に役に立つかもしれませんし、100年後まで待たなければならないかもしれませんが、まずは世の中の人々と科学の「面白さ」そのものを共有したいものです。それが技術開発の始まりでもあり、また市民による科学・技術批判の基盤となると信じています。
スライド、この一枚
 脊椎動物のホネは化石としても残りやすく、その進化の過程がたどられてきています。私たちの体には胸にしか見られない肋骨も、時代をさかのぼれば胴体全部にわたってみられます。ヒトなどでは胸以外の肋骨に相当するホネは、小さくなって椎骨(背骨をつくるひとつひとつのホネ)にくっついてしまったと考えられています。進化の過程でこのような体軸に沿った部域化が生じたわけです。一方、これを個体発生で見てみると、そのもとは頚の椎骨も胸の椎骨と肋骨も、形の上ではまったく区別が付きません。椎骨と肋骨のもとは「体節(たいせつ)」と呼ばれる組織で、その名の通り、細胞が頭から尻尾まで節状に集まったものです。このように同じ様な繰り返しに見える体節から、その場所によって違う形のホネになる仕組みを探りたいと思っています。それは、ヘビのように体全体に肋骨をもつ動物や、カエルのようにまったく肋骨をもたない動物の体節が生まれてきた仕組みを知ることに通じるはずです。もしかしたらナメクジのようにホネをもたない動物の体の形を作る機構にも話がおよぶかもしれません。
 さて、実際には私は、ニワトリやウズラといった鳥類の卵を温めてその中でひよこになるもと、「胚(はい)」に手術を加え操作することによってできるホネの形がどうなるか、というやり方で研究を行っています。加えた操作に胚が反応してホネの形が変われば、その操作とホネの形の変化との因果関係を考えます。それによって、では正常なホネの形はどうやってできるのか、ということを考えられるようになるのです。写真は私がこの研究を始めるきっかけとなった実験のものです。2枚の写真のどこが違うかおわかりでしょうか?これは胸の部分を横から見たところです。肋骨にはとげが生えていますが(これは鳥類の特徴)、右の写真が正常、左の写真は上下逆向きになっています。この胚はそれが若い時期に体節を上下(頭と尻尾)逆にして移植したのです。この実験をすることによって初めて体節には頭尾があって、それがホネの形を決めているということがわかりました。これは、ただ見ているだけではわからなかったことなのです。
 現在、肋骨のもとを体節よりもっと若い時期にまでさかのぼってその形がどのようにして決まっていくのか、もうひとつは、体節から肋骨ができるとき実際に細胞の行動としては何が起きているのか、の両面から、「どうやって胸にだけ肋骨ができるのか?」という問題に取り組んでいます。
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