私の専門は数理生態学、数理模型を用いて生態現象を解明し、野生生物資源を持続的に利用する方途を研究する。主な業績は以下の4つである。
(1)タンガニーカ湖の鱗食魚に見られる「襲い分け」=同じエサを食べる2種の捕食者はふつう競争関係にあるが、異なる方法で襲うと被食者が天敵を同時に防ぎきれなくなり、かえって捕食効率が高まる。これを取り合い双利関係(exploitative mutualism)といい、住み分け、食い分けに次ぐ第3の共存機構である。
(2)「手取り一定の定理」=二人の競技者が共同出資し、その投資量に応じて残りの資金を有効活用できる状況を考える。特に、二人の資産が異なるとき、両者はどのように出資するか?互いに自分の利益を最大にするという非協力ゲームの解は、意外にも金持ちはたくさん投資し、手取りを一定にするというものだった。個人の利益の最大化という進化生態学の基本原理は、持てる者と持たざる者の平等を生み出すことが理論的に示唆された。
(3)「3すくみ仮説」(スライド、この1枚を参照)
(4)「エゾシカ保護管理計画」=いま、エゾシカが増えすぎて困っている。エサを求めて農地を荒らし、森林植生も破壊し、1998年には北海道の農林業被害は50億円にも達した。さすがに駆除して数を減らしたい。ところが、いったい何万頭いるのかわからない。国際捕鯨委員会(IWC)の議論と同じで、わからないものは放置せよという主張が自然保護団体からあがった。私は、常に個体数の増減を監視し続け、増えていたら徹底的に獲り、減ったら獲るのを控えるフィードバック管理を提唱した。エゾシカの生息数は当初予想したよりかなり多かったが、何とか個体数を減らすことができたようだ。なお、環境庁版植物レッドデータブックにある絶滅リスクの評価方法は私が開発した。
|
|