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  生態系の変動と構造を数理モデルで理解する
顔写真
氏名   松田 裕之
name Hiroyuki Matsuda
e-mail matsuda@ori.u-tokyo.ac.jp
住所1 東京大学海洋研究所海洋生物資源科学部門
住所2 資源解析分野
telephone 000-0000-0000
facsimile 000-0000-0000
住所3
 1957年福岡県大牟田市生まれ、麻布高校、京都大学理学部、寺本英教授 に師事し同大学院博士後期課程卒業(理学博士)、品川嘉也教授の下で日本 医科大学助手、水産庁中央水産研究所主任研究官、九州大学理学部生物学科 助教授、1996年より東京大学海洋研究所助教授、現在に至る。同大学院農学 生命科学研究科水圏生命科学専攻・新領域創成科学研究科環境科学専攻・総 合文化研究科広域システム科学専攻を兼担。日本生態学会全国委員。
 私の専門は数理生態学、数理模型を用いて生態現象を解明し、野生生物資源を持続的に利用する方途を研究する。主な業績は以下の4つである。

(1)タンガニーカ湖の鱗食魚に見られる「襲い分け」=同じエサを食べる2種の捕食者はふつう競争関係にあるが、異なる方法で襲うと被食者が天敵を同時に防ぎきれなくなり、かえって捕食効率が高まる。これを取り合い双利関係(exploitative mutualism)といい、住み分け、食い分けに次ぐ第3の共存機構である。

(2)「手取り一定の定理」=二人の競技者が共同出資し、その投資量に応じて残りの資金を有効活用できる状況を考える。特に、二人の資産が異なるとき、両者はどのように出資するか?互いに自分の利益を最大にするという非協力ゲームの解は、意外にも金持ちはたくさん投資し、手取りを一定にするというものだった。個人の利益の最大化という進化生態学の基本原理は、持てる者と持たざる者の平等を生み出すことが理論的に示唆された。

(3)「3すくみ仮説」(スライド、この1枚を参照)

(4)「エゾシカ保護管理計画」=いま、エゾシカが増えすぎて困っている。エサを求めて農地を荒らし、森林植生も破壊し、1998年には北海道の農林業被害は50億円にも達した。さすがに駆除して数を減らしたい。ところが、いったい何万頭いるのかわからない。国際捕鯨委員会(IWC)の議論と同じで、わからないものは放置せよという主張が自然保護団体からあがった。私は、常に個体数の増減を監視し続け、増えていたら徹底的に獲り、減ったら獲るのを控えるフィードバック管理を提唱した。エゾシカの生息数は当初予想したよりかなり多かったが、何とか個体数を減らすことができたようだ。なお、環境庁版植物レッドデータブックにある絶滅リスクの評価方法は私が開発した。
もっと詳しく知りたい方へ
スライド、この一枚

 
  マイワシ、マサバ、カタクチイワシなどのプランクトン食浮魚[うきうお]類は、およそ数十年ごとに数の増減を繰り返している。これは有史以前から繰り返され、1990年頃にマイワシが減ったとき、親はまだたくさんいて、卵もたくさん生まれているのに、なぜか漁獲対象となるまで育たなかった。マイワシ減少の原因は乱獲ではなく、自然現象である。
 私は上記の3種がエサをめぐって競合し、グー、チョキ、パーの3すくみ関係にあると考えた。これは3元連立微分(または差分)方程式で表すことができ、係数の条件によっては永久に変動しながら共存する。この3すくみ仮説が正しければ、マイワシ、カタクチイワシ、マサバの順に増え、その後は再びマイワシが増える。カタクチイワシとサンマとマアジ・ムロアジは漁獲量の消長を共にする傾向がある。

 この説を発表した1992年は、マイワシにとって全盛期が終わり、若い新規加入が乏しい高齢化社会を迎えつつあった。案の定、その次に増えたのはカタクチイワシ、サンマ、アジであった。3すくみ説によれば、次に増えるのはマイワシではなく、マサバである。この予想が外れたなら、3すくみ説は間違いであることがわかる。ただし、真偽がわかるのはおそらく20年後、私が定年になるころだろう。
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