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美しく咲く花を観察するとみんな雄しべと雌しべを持っている両性花である。しかし、植物の中にも我々(男と女)と同じように雌雄異株の被子植物が全体の数%程度存在している。XY型の性染色体を持つ雌雄異株植物の一種、ナデシコ科草本植物メランドリウム(Silene Iatifolia ssp.alba)は形態的に雌雄で異なるのは花だけで、ホルモンや環境要因で性転換することはない。哺乳類と同じように性染色体の分配だけで、性が遺伝的に決定されており、Y染色体上には強力な雄性決定遺伝子が存在していると推測されている。
雄花の形成に関わる遺伝子がY染色体上にあるかもしれないと考え、雄株の蕾で特異的に発現している遺伝子を単離した。単離した遺伝子(MROS)は花粉形成の際に栄養を供給するタペータム細胞や葯壁、花粉などの雄の生殖器官で特異的に発現していた。写真はそのうちの一つMROS2遺伝子の葯における発現を in situ hybridization で調べたものである。青紫色のシグナルがMROS2の転写産物の蓄積している部位を示す。若い葯(B2)ではシグナルが見られないが、成熟期の葯(B3,B4)では葯壁やstomium(葯壁がくびれているところ)で転写産物の蓄積が見られた。さらに開花直前期の葯(B5)では花粉内に転写産物が見られるようになった。MROS遺伝子は雌雄のゲノムにもあり、雌株では発現は抑制されている。Y染色体上にMROS遺伝子発現のスイッチを入れる遺伝子があるのかもしれない。
現在のところ、植物の性染色体上にあって、性決定や性分化に関わる遺伝子はまだ見つかっていない。そのような遺伝子を見つけ、植物の性の在り方について、遺伝子レベルでの理解を深めたいと思っている。
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