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遺伝学 細胞情報科学 コンピュータ ヒト 関東
  活字中毒者は4種類の文字しかない本さえ読む
顔写真
氏名   中井 謙太
name Kenta Nakai
e-mail knakai@ims.u-tokyo.ac.jp
住所1 東京大学医科学研究所ヒトゲノム研究センター
住所2 東京都港区白金台
telephone 03-5449-5619
facsimile 03-5449-5434
住所3
なかい・けんた/1963 年大阪生まれ。あまり運動が得意ではなかったこともあって、小さいときから本を読むのが大好きでした。ただし、勉強の方はあまり好きではなく、中学時代までは国語以外の成績はあまりよくありませんでした。しかし、高校に入ってから、大げさにいうと各教科の背後にある学問体系の美しさに気づくようになり、次第に自分で勉強することが楽しくなりました。たとえば、物理学は「この世の中にある根本的な法則とはどういうことか?」という疑問に答えるものでしたし、生物学は「生命とは何か?」という疑問に答えるものだったわけです。そんなわけで、自然に大学では理学部に進み、物理学的に生命の謎を解明したいと志すようになりました。大学院進学に当たっては、何を専攻するか、かなり迷ったのですが、ちょうどその年に京都大学化学研究所に「理論生体高分子学」という講座が新設されたので、そこに進むことにしました。4回生の夏に研究室訪問をしたときには、まだボスになる金久實先生はアメリカにおられたため、ボスに会ったことのないまま、進路を決めたことになります。今考えれば、ずいぶん大胆なことをしたものです。京大化研では、活字中毒が本を読むように、自然な感じで「コンピュータを使って生命の設計図を読んでみたい」という方向で研究を始めました。その目標は、岡崎国立共同研究機構基礎生物学研究所、大阪大学細胞生体工学センターなどを転々とした後、現在のポジションに就くまで、一貫して変わっていません。私の専門分野は、今でこそバイオインフォマティクス(生命情報科学)です、と言うことができるのですが、私がこの道に入ったときには、まだそんな言葉さえなく、かなりマイナーな学問分野でした。その後、ゲノム研究の嵐のただ中であっぷあっぷすることになろうとは、当時は夢にも思いませんでした。
 
若者の科学離れが進んでいるそうです。私にはその直接的な理由が、単に理系に進んだ方がたくさんのことを勉強しなくてはいけないからという今どきの高校生の打算があるように思えるのですが、より根底には以前のような素朴な科学礼賛が薄れたことが影響しているのかもしれません。確かに私が携わっているゲノム研究にも負の側面があることは否定できませんし、組織的、網羅的なゲノム型研究が従来の科学の研究スタイルを大きく変質させつつあります。実際、私たち科学者の生活は、奥まった書斎で森羅万象について思いを馳せるといったような、一般的な科学者の生活のイメージとはほど遠いものです。しかし、それでも科学の根底にあるのは、現象の背後にある本質的なものを知りたいという研究者の知的好奇心であることは、昔も今も変わらないと思います。ですから、私は科学が苦手という高校生に科学の学習を無理強いするのはよくないとは思いますが、すべての高校生に、科学の学習を通じて、知的好奇心を論理的に追及する喜びを味わってもらえればと思います。さらに、新聞に出てくる科学用語がなんとなく自分の知識の体系の中で実感できるようになればもっと素晴らしいのですが、それは期待し過ぎでしょうか。それから、科学に対する憧れみたいな者をもっている人はそれを大切にして、自分は文系の人間だからとか、決めつけないでほしいと思います。私自身、本当は自分が文系の人間だと思っていますが、科学のもつ「格好良さ」に引きずられたここまでやってきた面はありますから。
もっと詳しく知りたい方へ
スライド、この一枚

  私の研究を代表するようなスライドを選ぼうとしたのですが、適当なものが見つからなかったので、私の研究を象徴するようなスライドを作ってみました。ご覧の通り、これはDNAの塩基配列です。ヒトゲノムでは、このような文字列が30億も並んでいるのです(23の染色体に分かれてはいますが)。私の研究テーマはコンピュータを使ってこの配列の中に書き込まれている遺伝情報をできるだけ多く読み取るための新しい方法を開発することです。たとえば、この配列中のどこに遺伝子があるかを発見し、その遺伝子を制御しているスイッチ領域の情報(図では色を変えて表示しています)を読み取ることができれば、その遺伝子がどのような条件(たとえば、骨を作るためなど)で利用されているかがわかるはずです。また、遺伝情報は一旦、RNAという物質に写し取られ、それをもとにタンパク質が合成されるのですが、RNAの中で余分な配列であるイントロンと呼ばれる領域がどのようにして正確に細胞内で認識されているかや、合成されたタンパク質が細胞の中の適切な場所に配送されるために持っている細胞内局在化シグナル情報も研究しています。これらの研究によって、細胞の中のいろいろな段階で遺伝情報が読み取られていくステップをコンピュータでシミュレートするという目標に到達することを目指しています。
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