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| (今道) |
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よく学問の起源や進歩の元は好奇心だと言われますが、好奇心程度で動いてる学問っていうのはせいぜいが科学だなんて言ったら怒られるんですけどね。 |
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| (中村) |
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なるほど、せいぜいですか。文部省が好奇心を育て、科学に強い人を産み出そうとして、スーパー・サイエンス・ハイスクールというようなシステムを作っているのですが、ちょっと伝えなければ(笑)。 |
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| (今道) |
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せいぜいが科学です(笑)。それではいけないと思うのです。その通り書かれて、袋だたきになっても変えない考えです。というのも、多分、立派な科学者の出発点は好奇心じゃないと思います。では、何から出発するかというと、「讃美」。それから「憧れ」。そういうものだと思うのです。「驚きから学問が始まる」というアリストテレス※の言葉がよく引用されますが、「驚き」も好奇心よりはずっと上だと思います。だけど「驚き」って訳もよく考えると、ギリシア語でタウマゼインといいますが、タウマというのは「偉大なもの」という意味でしょう。 |
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| (中村) |
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偉大なことに心を動かされると、憧れ、讃美の気持ちが湧いてきますね。 |
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| (今道) |
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そうなの。驚く程度では、これはやはりせいぜいが…なんでしょうね。 |
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| (中村) |
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科学よりちょっといいものに(笑)。 |
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| (今道) |
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せいぜいが哲学とかじゃないでしょうか、驚くぐらいだったらね。もちろん、驚きから出る科学もあると思いますよ。 |
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| (中村) |
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好奇心や興味というより、そのものに対する讃美や、ある種の畏れがあって初めて本物の学問ができる。 |
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アリストテレス【Aristotel s】 |
(前384〜前322) 古代ギリシアの哲学者。プラトンの弟子。プラトンは事物の本質をイデアと名づけ、超越的なものとしたが、アリストテレスはそれを形相(エイドス)と名づけ、質料に内在するものとした。形相と質料は存在者を構成する不可分の2原理として、前者が現実態、後者が可能態とも呼ばれる。アテネにリュケイオンという学校を開き(その学徒はペリパトス(逍遥)学派と呼ばれる)、その研究は論理・自然・社会・芸術のあらゆる方面に及んだ。「形而上学」「自然学」をはじめ、論理学・倫理学・政治学・詩学・博物学などに関する多数の著作がある。
<『広辞苑』より>
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| (今道) |
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そうだと思います。好奇心でやっていくことは、1人でも、あるいは人に隠れてでもできる。哲学者にもいます、そういうのは。でも、讃美、憧れの場合は、これはもう今までの我々の力ではだめなんじゃないか、君も見てごらんって、誘うことになってくると思うのです。自分の好奇心でやっていくだけでは済まないようなものになる。それは良い意味のモラルです。
アリストテレスのちょっと後の時代、アラトス※というストア学派の天文学者が詩を書いています。当時は詩でいろいろの学問を書いてました。彼は、カイレ・パーテル・メガ・タウマと言っています。「父よ!」ですが、神様のこと。キリスト教徒じゃありませんからストアの神様。「神よ!大いなる素晴らしいもの」という意味で、神にタウマを使っている。また、プラトン※が最初にこの語を使った時は、星を見てタウマゼインと言っている。これはやはり「讃美する」でして、だから中世の人たちは学問の始まりはアドミロールと言う。ミロールは「驚き」。ミロールじゃなくてアドミロール、「讃美」です。本当の学問は、そうではないかと思うのです。
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| (中村) |
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自然や生命に対して讃美や畏れを感じることが、学問の基本ということはよくわかりました。一方、実際に生きものを対象にしておりますと、小さなものへの愛ということも感じます。それが「愛づる」ではないかと思うのです。 |
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アラトス【Ar tos】 |
(前310〜前240)
ギリシャの詩人・学者。小アジア・キリア地方のソロイ(ソリ)出身。天文や気象の知識をまとめた「ファイノメナ」という長詩が残っており、多数の星座の記述が初めて登場する書物として重要。
<『天文学人名辞典』恒星社より>
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プラトン【Plat n】 |
(前427〜前347)
ギリシアの哲学者。ソクラテスの弟子。アテナイ市外に学校(アカデメイア)を開いた。霊肉二元論をとり、霊魂の不滅を主張、肉体的感官の対象たる個物は真の実在ではなく、霊魂の目でとらえられる個物の原型たる普遍者(イデア)が真の実在であると説いた。このイデア論に基づいて、認識・道徳・国家・宇宙の諸問題を論じ、哲学者の任務はイデア界を認識して、現実の世界をこの理想世界に近づけることにあるとした。著「国家」「パイドン」「饗宴」「テアイテトス」「ティマイオス」「法律」など約30編の対話篇。
<『広辞苑』より>
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