中村桂子のちょっと一言

館長の中村桂子がその時思うことを書き込みます。月二回のペースで、1995年5月から更新を続けています。

2014年9月16日

生命誌マンダラとウルグアイ

中村桂子

判じものみたいな題ですが、これをつなぐのは中川学さん生命誌マンダラを描いて下さった方です。東京人である私が関西で仕事をするようになって20年、その間にこちらに来なかったら知らずに過してしまっただろうと思う方にたくさん出会いました。東京人の傲慢さは、何でも東京と思い他を知ろうとしないところです。日本中にすばらしい人がいます。とくに大阪、京都、神戸、奈良など歴史豊かな街のある関西圏には、いわば“面白い方”がたくさんいらっしゃいます。

中川さんもその一人。浄土宗禅林派の僧侶でありイラストレーター、もしくはイラストレーターであり僧侶です。マンダラを描いていただくのにこんなにピッタリの方はありません。おかげさまで生命誌としてとても意味のある作品ができました。

先日、生命誌のこれからを考えるための資料を探している途中で、たまたま中川学さんの描かれた絵本に出会いました。「世界でいちばん貧しい大統領のスピーチ」、ウルグアイの大統領ホセ・ムヒカの話です。ムヒカの個人資産は1987年型フォルクスワーゲン・ビートルだけ、住宅も質素です。給与のほとんどは寄附、月1000ドルで暮らしています。

そのムヒカ大統領の2012年7月リオ会議でのスピーチが絵本になっているのです。全文を紹介したいところですが長いので要約します。

「なぜ我々はこのような社会をつくってしまったのか。市場経済が市場社会を生み、グローバリゼーションが世界の果てまで資源を求める社会にしたのではないか。私たちがグローバリゼーションをコントロールしているのでなく、グローバリゼーションが私たちをコントロールしている」というところから始まり、「私たちは発展するべく生まれてきたわけではありません。幸せになるため、この地球にやってきたのです。人生は短く、すぐ目の前を過ぎてしまいます。命よりも高価なものは存在しません」と続きます。そしてセネカの「貧乏な人とは、少ししかモノを持っていない人ではなく、無限の欲があり、いくらあっても満足しない人のことだ」を引き、これが議論の鍵であると話を進めます。「私の言っていることはとてもシンプルなものです。発展は幸福を阻害するものであってはいけないのです。発展は人類に幸福をもたらすものでなくてはなりません。愛情や人間関係、子どもを育てること、友達を持つこと、そして必要最低限のものを持つこと。これらをもたらすべきなのです。幸福が私たちのもっとも大切なものだからです。環境のために戦うのであれば、人類の幸福こそが環境の一番大切な要素であるということを覚えておかなくてはなりません」。環境について語る会議も経済競争の中での話になっていることへの問いかけです。

お仲間の一人の中川さんが、すてきな絵本の作者であることが嬉しくて紹介しました。

みなさんからのご意見生命誌の広場より

感激の子どもたち

投稿日:2014.08.31 / 名前:永松 智也

先日、中村先生から批評文のお返事が届きました。さっそく夏休み明けに子どもたち一人一人に渡しました。私もですが、子どもたちもまさか一人一人に返事をいただけるとは思っておらず、「えーっ!」と大変な驚きようでした。子どもたちは驚きとともに、大変感激した様子で、みんな自分への返事を食い入るように読み、大事に持って帰っていました。先生の子どもたちへの思いがわかりました。これも「つながり」なのかなと思いました。本当にありがとうございました。誠に申し訳ないのですが、まだ数名書き上げていない児童がおりましたので、また送ってもよろしいでしょうか?

語り合いの続きは「生命誌の広場」へ

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