中村桂子のちょっと一言

館長の中村桂子がその時思うことを書き込みます。月二回のペースで、1995年5月から更新を続けています。

2014年8月18日

男性は根性がないから?

中村桂子

研究館のコンファレンス・ルームで「農業女子フォーラム」が開かれました。今たくさんの問題を抱えている農業ですが、食という生活の基本に関わるということで女性の関心が高まっています。農業を始めようという女性も増えています。その動きを応援するフォーラムです。生命誌の社会とのつながりの一つとして農業は大事ですので、私もこの動きを応援しています。

フォーラム全体の報告は、どこかで見ていただくとして、一緒にパネルディスカッションに参加した農業高校の女生徒三人がとてもとても魅力的だったので、その紹介をします。まず酪農を専攻するじゅりさん。ウシは生き物であると同時に、牛乳や肉という商品を生み出すものでもあり、病気や怪我は禁物です。ただ可愛がるだけでなく、決して病気をさせないという緊張の中で牛と向き合っている気持が伝わってきました。始業前、朝七時頃には牛のところに行って世話をする。とくに、この暑い時期に牧草を刈ってサイロに入れ、餌の準備をする作業はとても大変と言っていました。酪農専攻は女子の方が多いと聞き、そんなに大変な作業なのにと問いかけたら、男性は根性がないからと言い放ちました。

最近の女性活用という話しはあまり好きではありません。人手不足や少子化で急に女性に眼を向けたり、「リケジョ」と言って特別扱いしたり。女性の本当の能力を生かすことになってはいないからです。そこで農業女子という言葉にも少し抵抗を感じていたのですが、こういう「女子」なら本来の意味だと思いました。

もう一人がゆめさん。種まきから始めて野菜を育て、収穫し、更にはそれをどのように販売するかまでを総合的に考えられるのでとても楽しいとニコニコしながら語ります。地域の人とのつながりもでき学ぶことがたくさんある。実はじっと坐っての勉強はあまり好きではないので実習で学ぶのが本当に嬉しいというのです。自然とのつき合いからマーケティングまですばらしい学びです。いとこなど周りの人にも是非農業高校へ入るように勧めているそうです。もう一人もゆめさん。自然保護にも関心を広げ、近くにいるオオムラサキの保護に務めています。このチョウを子どもたちにも知って欲しいと劇を創って幼稚園や保育園をまわっているそうです。

みんな学校大好きと言っています。そこで私が「こんなすばらしいところなのに文科省は今農業高校を潰しています。これを何とかしなければいけないのではありませんか」と聴衆の先生方に向けて問いかけましたら、急に三人が落ち着かなくなり慌てました。「こんなに楽しい学校なのに。農業高校がいらないという人は何を食べて生きているんですか」と怒るのです。おっしゃる通り。この声を中央に届けなければいけません。現場はすばらしいのに、どこかずれた政策がとられるためにうまく行かない。そういうことが多過ぎます。

みなさんからのご意見生命誌の広場より

生きた書斎

投稿日:2014.08.06 / 名前:寺内正子

 陶芸家の浜田庄司さんは、ご近所の方達の世間話が飛び交う中で轆轤を引いていたと聞きました。お子様達と、丸い大きなテーブルに向かう先生のお姿を思い描いていたら、ふと、思い出しました。
 「重ね描き」の原点だぁ~。なんて、感じてしまいました。
 と、同時に、昨日の、とっても残念なニュースには、科学ど素人の私も、「専門家」の危機的現状を思い知らされてしまいました。「生きている」ということの大切さを、当たり前にしなければ、と思いました。
 

語り合いの続きは「生命誌の広場」へ

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