中村桂子のちょっと一言

館長の中村桂子がその時思うことを書き込みます。月二回のペースで、1995年5月から更新を続けています。

2015年9月1日

好きな本の二冊目を

中村桂子

私の好きな本の集まっているところから先回「部分と全体」をとり出しました。本格的な紹介はいつかゆっくりすることとして、本棚でたまたまその隣りにある本をとりあげます。

「いま自然をどうみるか」高木仁三郎(白水社)です。開くと、謹呈高木仁三郎とサインがあります。同じ理学部化学科の二年後輩なのです。もっとも学生時代には面識はなく、後年、原子力への疑問を呈する活動を始められてから知ったのですが。よく読まれている代表作は、「市民科学者として生きる」、「原発事故はなぜくりかえすのか」(ともに岩波新書)でしょう。これらの本を読んでもわかりますが、原発を技術としてだけ見るのではなく、人間の生き方を考えた時にこの技術は使うものではないと結論できるという立場でした。ですから高木さんにとっては、「いま自然をどうみるか」を考えることが大事なのです。本書では、人は自然をどうみてきたかという歴史を踏まえて、これからの自然の見方を示すのですが、それは自然の中に人間を埋没させるエコロジズムではありません。「人間の精神を広大なる自然へ向かって解放するかたちで人間を相対化することにより、自然と人間という二元化でなく根源的な自然と人間の関係を復権させる」とあります。生命誌で考えていることも同じです。

東日本大震災後の思いを書いた「科学者が人間であること」が本としてでき上ってきた時、同じ新書でしたので、高木さんの「市民科学者として生きる」と重なりました。この本で高木さんが宮沢賢治に影響を受けたと書いておられることもあり、近いものを感じたのです。2000年に62歳で亡くなってしまったのが悔まれます。今たくさんの発言をし、行動をして欲しい方ですのに。

みなさんからのご意見生命誌の広場より

文科省の考えに・・意味不明

投稿日:2015.08.17 / ニックネーム:teru

中村先生のおっしゃる言葉、実はこの春に日文研で井上章一副所長さんから、「文科省はこんなことをおっしゃっております」
国立大学には文系はいらないとか・・
日文研に対する意見か・・と思いながら聞いておりました。
どうもオリンピックもこんな調子で進めてこられ国立競技場が振り出しへ戻りました。ダメダメでしょう・・
科学とは、自然とは、社会で言えば研究所はいるが本社はいらないとことを言っておられるように聞こえました。何を血迷ったことを・・先の戦争もこんな調子だったかもしれませんね・・海軍と陸軍の考え方の違い・・320万人も犠牲者が・・
エリートの方々の歩の扱い方だったようですね・・国には深い反省はできてませんね・・

語り合いの続きは「生命誌の広場」へ

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