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世界観

2-5 カエルとイモリのかたち作りを探る 〜 形態形成研究室

2-5 カエルとイモリのかたち作りを探る 〜 形態形成研究室

生きものの形づくりには、細胞が「増える」「移動する」「分化する」ことが基本にあります。細胞がどのように振る舞って形を作っていくのか、カエルとイモリで調べています。

私たちは、脊椎動物の形づくりの仕組みを探る目的で両生類の仲間であるアフリカツメガエルとイモリを用いて研究を行っています。

1・両生類の原腸形成機構の解析

三つの体軸を形成し、神経を誘導し、さらにその後の体制を決める原腸形成過程は脊椎動物の初期発生において最も重要な発生現象です。また、脊椎動物では、咽頭胚と呼ばれる時期に魚から哺乳類に至るまでその形態が非常に似ている事が知られており、咽頭胚を作る過程に何らかの普遍的な仕組みがあると考えられます。私たちはその過程が原腸形成ではないかと考えています(図1)。

歴史的に見て原腸形成過程は主に両生類によってその研究が進み、現在でも両生類の原腸形成運動の理解によってその他の脊椎動物の理解へとつながっています。原腸形成過程に関わる遺伝子(分子)は脊椎動物を通じて共通である事が知られており、したがって原腸形成機構自体も脊椎動物を通じて基本的に保存されていると考えられていますが、原腸胚の大きさやかたち、さらには原腸形成過程に起こる組織運動などが種によって大きく異なっており、その本質的な普遍性の理解が進んでいません。

私たちは、ツメガエルとイモリの原腸形成運動が正反対である事を見いだしています。この事実は、ツメガエルでは最初に頭部が決まり、その後に尾部方向を作っていくのに対し、イモリでは頭部を最後に作る事を意味しているとともに、神経誘導の時期も決定的に異なる事を意味します。これらそれぞれの違いは、ある現象を見ればトリとツメガエルはよく似ており、また違う現象ではイモリとトリが似ているといった、脊椎動物における種間の違いを反映しているように見えるほどです。ツメガエルとイモリは、その形態は互いに直接的な比較が可能なほど似ており、したがって、ツメガエルとイモリの原腸形成過程を徹底的に比較検討することにより、相違点と相同点を見いだす事が期待でき、そこから脊椎動物の原腸形成過程に潜在する普遍的な仕組みについて本質的な何かが見えてくるのではないかと期待して研究を進めています(図2)。

2・神経堤・プラコードの形成機構を探る

脊椎動物と無脊椎(原索)動物を区別する方法の一つとして、「真の頭部」の存在が言われています。神経堤とプラコードは、頭部骨格・頭部神経節・頭部筋肉・間充織・眼鼻耳などの感覚器・末梢神経など「真の頭部」の大部分を作ることから「脊椎動物を定義する組織」とも言われ、実際に神経堤細胞とプラコードは脊椎動物以外からは見いだされていません(図3)。

神経堤とプラコードは、神経と表皮の境界領域に形成されます。これらの細胞は発生がある程度進むまでは分化をする事なく、後期神経胚期から咽頭胚期にかけてその場所に応じた分化をすることで様々なかたち作りに貢献する事から、脊椎動物の体づくりの研究において重要な位置を占めて来ました。神経堤とプラコードの形成には細胞の状態(増殖か分化か)の制御が重要であることが我々の研究から示されています。この考え方は転写制御のカスケードのみによって細胞運命が決まるという一般的な考え方に加え、そのカスケードが働ける細胞内条件(あるいはコンピテンスと言ってしまっても良いかもしれません)の重要性に言及すると同時に、神経堤・プラコードが進化的にどのように獲得されてたのかについて探る手がかりになると思います。現在は、細胞の状態を制御する機構の解析とともにその意味についても、神経堤とプラコードの領域で働いている複数の新規遺伝子機能を指標に解析を進めています。神経堤とプラコードが形成される仕組みを理解する事で、脊椎動物が進化の過程でどのように生じたのかを知る事ができると期待して研究を進めています(図4)。

図4
図4 プラコードは、神経板と表皮の前方部境界に形成される。神経板が閉じる時の細胞移動に伴ってその場所は多少は変化するが、神経堤細胞ほどダイナミックに移動しない。神経堤は神経管形成にともなって胚体内にこぼれ落ちるが、プラコードは胚表面に位置し、咽頭胚期に内側へと陥入して感覚器や神経節などを形成する。
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スタッフ
橋本主税
皐裕美
川辺実季 益田真都香
主任研究員
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  大学院生
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年度別活動報告年度別活動報告

  • 研究室の活動は科学論文や学会発表という形に限りません。
    表現 (SICP) セクターと連動し、様々なやり方で研究を表現していきます。
  • 大阪大学の連携大学院となっています。
  • これまでの学位取得者とそのテーマ
    1.平成14年度 修士論文 山口真未
    「鳥類胚における体壁筋形成の部域特異性」
    2.平成15年度 修士論文 重永 幸
    「アフリカツメガエル初期発生過程におけるGrouchoの機能を探る」
    3.平成16年度 博士論文 辻 咲織
    「コリプレッサーGrouchoによる転写制御がアフリカツメガエルの頭部神経系の領域化に必要である」
    4.平成17年度 博士論文 山口真未
    「アフリカツメガエル原腸形成期のオーガナイザー組織におけるXhairy2bの役割」
    5.平成17年度 修士論文 村戸康人
    「Xenopus hairy2bがオーガナイザーを領域化する二つの分子機構について」
    6.平成19年度 博士論文 永友寛一郎
    「アフリカツメガエルの神経堤・前方神経領域形成におけるXhairy2の役割」
    7.平成20年度 博士論文 村戸康人
    「アフリカツメガエル胚の頭部感覚器官形成におけるXhairy2の機能解析:特にレンズ形成におけるその必要性について」
    "Functional analyses of Xhairy2 in the formation of cranial sensory organs in Xenopus laevis embryos: Requirements for lens formation."


  • チョウが食草を見分けるしくみを探る
  • DNAから進化を探る
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