1-1 季刊「生命誌」 - カードとWEBを組み合わせた季刊誌をお届けします。

世界観の一部

1-1 季刊「生命誌」

 

2010 年間テーマ「編む」

細胞をつくるDNAやタンパク質などの分子、個体をつくるさまざまな細胞、生態系の中の多種多様な生きものたち。個々についてのデータは大量で溢れんばかりになってきました。でもこれらがお互いに関わり合い、編み上げられていくプロセスが解けなければ「生きもの」は見えてきません。分子から生態系まで、さまざまな階層の研究に眼を向け、偶然と必然とが絡み合って編まれる生きものを見つめます。そこから世界を編集し、物語りを描いていこうと考えています。
編みあげ、またほどく
 子どもの頃、編みものが好きでした。母がセーターを編んだ残り糸を貰って靴下を編むのです。今思うと、一次元の糸が三次元の形を作っていくのが楽しかったのだろうなと思います。対談のお相手津田さんのカオスの数学というとんでもなく難しいテーマも、きっと編み上げられたものなので、編みものをほどくつもりで解きほぐせないかと思っています。カオスの基本テーマである「時間」は生命誌には不可欠ですから。
 リサーチは、人気者の粘菌です。飢餓になるとアメーバが集まってキノコのような形になる姿はおなじみですが、この自己組織化がどのように起きるかを解いた研究、面白いです。もう一つは、研究館の人気者のオオヒメグモです。節足動物のモデル、ショウジョウバエとは違う前後軸、背腹軸の作り方が見えてきて、体の軸形成の進化を探る鍵になりそうで、これからが楽しみです。
 サイエンティスト・ライブラリーは、脳研究で学士院賞を受賞なさったばかりの御子柴先生。研究はもちろん、絵画から中国の骨董まで、知的興味が溢れ出てきて話が止まらないのです。研究成果だけでなく、人間を伝えることの大切さを改めて感じました。分子から病気まで、脳という切り口であらゆる方向へ展開しています。(中村桂子)
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季刊「生命誌」に届いたご意見・ご感想

生命誌に魅かれる理由―未知のつながりを表現しようとする意志

投稿日:2010-07-23 ニックネーム:hon no mushi

 カオスについての対談を読み、「数学的カオスは、時間軸に沿って拡大する路線が、隠れて見えず内包されていた条件(ルール)によって状況が一変することらしく、逆転劇のあるオセロゲーム、または開けて驚くタイムカプセルみたい…」と感じました。牛や豚の口蹄疫・鳥インフルエンザの発生も、(海の日を含めた連休中観た)NHKスペシャルで放送された番組での動物進化をめぐる経緯でも、条件を微妙に変えた方程式の立て方で現実的蔓延・進化に合うような相の転移が表現できるのかも、と思いました。

(我が家では梅雨明け前、天井の隙間から蝿が擦り抜けてくるので天井裏を探索したら、鼠が干乾びていました。虫の知らせから突き止めたこの半実験室的な鼠(記憶の中の亡霊)から(先に知覚された)蝿への命の受け渡しもカオス的変化と言えるのでしょうか…)

 それぞれの専門化が深く掘り詰めている研究内容を直観を頼りに照らし合わせて、散逸的部分ながらも提示するという生命誌の姿勢に魅かれるのは、聞く耳を持って受止めるアニマ的働きと、深層にある真実を表現しようとするアニムス的働きの意志がバランスよく感じられるからなのでしょう。…僭越ながら、『薔薇の名前』(U.エーコ著)という本で舞台となる建物で、(寒い時も安心して学べるよう)暖房を兼ねた厨房の上の階に図書室がしつらえられているのが、私には細胞生物学を人間の社会的生活設備でメタフォリカルに(分子レベルとそれよりも深い階層のつながりを)上手く表現しているように思います。ご参考までに。

語り合いの続きは、生命誌広場へ

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