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| 図1 日本各地の年縞所在地 |
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私たちは湖底に堆積した層がちょうど樹の年輪のように一年ごとの縞模様を描いている現象を、年縞(ねんこう)と名付けた。そして、年縞に含まれる物質を分析し、過去の環境史と文明の興亡史を年単位で結びつける研究を進めてきた。
もともと年縞はヨーロッパの火山の火口湖から見つかっていたが、私たちは福井県水月湖に年縞を見いだし、これがアジアではじめての発見となった。他にも秋田県目潟や鳥取県東郷池などの日本海側の潟や湖沼の湖底から良好な年縞を発見している。
こうした湖の底では、春先に繁殖するケイソウが白色の層となり、秋から冬にかけては粘土鉱物が堆積するために黒色の層ができる。これらの白層と黒層が一対となり、まるで年輪のような縞をつくるのである。年縞にはケイソウの他にも花粉・プランクトンなどの微化石や火山灰・黄砂にいたるまで過去の環境を知るためのヒントが多く含まれており、分析ターゲットが主に水である南極や北極の氷の年層に比べ多角的な検討ができるところが興味深い。また、年縞の形成は湖ならではの現象で、堆積速度の遅い海ではどんなに分解能をあげても千年単位の縞がやっとである。考古学でよく用いられる放射性炭素を用いた年代測定法でさえ百年ほどの誤差がでてしまう。やはり、一万年前の誤差がわずか数年という年縞は、環境と文明の関係を探るのにうってつけである。1年単位の環境変動を記憶したバーコード状の年縞は、まさに地球の歴史を刻んだ「ジェオ・ゲノム」と言えるだろう。他の方法によって長い歴史を知ると共に、年縞による近い過去の詳細な歴史を知ることから私たちの未来を考えるうえで重要なことは明らかである。 |
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