生命誌ジャーナル

2015年間テーマうつる

生きものの特性は「膜・複製・代謝・進化」と教科書にあり、私たちもそう考えてきました。しかし、細胞、ミトコンドリア、葉緑体、ウイルスのすべてがもつゲノムを切り口にすると、本質は「複製」と「進化」ではないかと思えてきました。ここから改めて「生きている」とはどういうことかを問うのが今年のテーマです。

ウイルスから「生きている」を考える

ウイルスは、ゲノム(DNAまたはRNA)が殻に包まれたもの、時にその外側を膜で覆われたものです。地球上の全ての種類の生きものにウイルスは感染します。ウイルスは宿主の細胞内でゲノムとタンパク質を合成し、そこから新たなウイルス粒子を組み立て、細胞から出ていきます。ここで必要なエネルギーやタンパク質合成機構は宿主細胞のものを用いること、分裂ではなく組み立てで増殖することから、ウイルスは生きものではないと考えられてきました。しかし21世紀に入り、ゲノムが大きく、独自の遺伝子を持つ巨大ウイルスが発見されるなど、ウイルスを生きものでないと決めつけてよいのか・・・新しい問いが生れています。

「生命誌アーカイブ」より

これまで生命誌で取り上げた約600の記事の中から、生きものの進化とウイルスの密接な関わりを示した2つの記事を紹介します。

  1. 0157が生まれた理由 林哲也 31号(2001年)
  2. 胎盤の多様化と古代ウイルス 宮沢孝幸 81号(2014年)

ウイルス研究を通して

近年の研究で生きものとウイルスの境の線引きが難しくなってきました。生命誌ではウイルスも含めて、生きものの世界の全体像を考えていきたい。これまでより多様な糸が絡み合い、読み解くのは一層困難ですが「生きている」を見つめ、考えるということはその複雑さに向き合うことなのだと思います。是非、新しい挑戦にお付き合いください。