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中村桂子のちょっと一言

館長の中村桂子が、その時思うことを書き込むページです。月二回のペースで、1998年5月から更新を続けています。

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【大事なことはなにか -1】

2001.8.15 

 日産自動車の建て直しをしたゴーン社長がその方法を問われて答えているのを聞いて教えられました。ゴーンさんは次のことに驚いたそうです。
 1)日産の人たちが自社ブランドに自信を持っていないこと(素晴らしい製品があるのに)
 2)競争会社の方ばかりを見て相手が何をしているか、それに負けるなということだけが大事になってしまい、ユーザーの方を見ていないこと
自分はこれを止めようと言っただけで後は優秀な社員たちがやったのです。これが答でした。ナルホドと思います。今日本全体が 1)日本という国に自信がもてない 2)なんでも競争、競争で本当に大事なことは何かを見ていないような気がします。決して国粋主義的な意味でなく私は日本の自然や文化、そして日本人は素晴らしいと思っています。そして、競争に勝ち残るより、私らしく生きることを大切にしたいと思っています。けれども科学(公には科学技術と言わなければ通用しなくなりました)の世界でも、競争に勝つことが重要事項になっています。競争相手としてとくに意識されているのはアメリカです。その競争に勝つとどんな社会になるのか、ということは問わずにいますが、このまま行けば「何でもあり」社会になるでしょう。皆がゴーンさんの指摘を考えてみる必要があると思います。

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