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最近は、都市にいるダニの研究しています。全国調査でどんな土にもダニがみつかるので、どこまでいくといなくなるのかが知りたくなったのです。最初に見つけたのは渋谷の東急デパートの屋上で、タイルの隙間の土にコケが生えてるのを見て、もしやと思ってスプーンですくってツルグレン装置にかけたらダニが出てきた。それがなんと、日本全国2900地点調査のどこからも出てこなかったダニだったのです。それで旅行に行くたびにデパートの屋上に上ってサンプリングしたのですが、釧路から那覇までほとんどのビルにいましたね。全部で20種類いましたが、シワイボダニ、サカモリコイタダニなどの4種類が圧倒的に多い。夏は手でさわれないくらい熱くて、雨が降らないとカラカラになる。冬はすごく寒くなり、栄養源になる有機物もきわめて少ないという過酷な環境です。こんなところにも生きものがいたことに興味をもってくれる編集者がいて、『都市化とダニ』という本になりました。本の帯には、「都会のコンクリートジャングルにひっそりと暮らすダニ達の生態。このまま都市化が究極の状態にまで進めば、都市は人とコケとダニしか住めない世界になるだろうと著者は予言する」なんて書かれていますが、日本全国のビルを写真つきで紹介していますから、読んだ人は、自分の知ってるあんなところにもいるのかと驚くことでしょう。こうして都市の生物に興味が出たのですが、僕の考える都市生物は5群。まず都市の廃棄物に依存して生活するドブネズミとかカラスなど。生息環境が変化しても都市に残留したアブラゼミなど。南方からきたクマゼミなど。外国からやってきたアオマツムシなどの帰化生物。そして、ビルなど都市の建造物が本来の生活環境と良く似ている岩壁動物です。例えばサカモリコイタダニの本来の生息地は、海岸の風衝低木林でした。年中潮風を受けて木が高く成長できない場所で、そこの土を調べたらいました。彼らにとっては、ここと都会の中央分離帯の植え込みは全く同じで、逆に、豊かな森に落ちたのは生き残れないわけです。シワイボダニはここでも見つからず、今眼をつけているのは断崖絶壁、岩棚みたいなところなので、ロッククライミングをやってる人にコケを採ってきて欲しいと頼んでいるところです。後から知ったのですが、鳥類では、ドバトやイワツバメが都市に住むようになったのは、本来の生息場所である中近東の岩場や海岸の岩壁がそれぞれ都市の環境に似ていたからだという指摘が既になされていました。都市生物のふるさと探しを始めたのは僕が最初ではないとわかって、ちょっと残念ですが。
海岸の砂浜に打ち上げられたゴミにも、見たことのないダニがいるのを発見しました。それで日本全国の海岸を車で走って、ゴミを拾って、ついでにおいしいサカナを食べて、できれば温泉に入ってから帰るという楽しい旅をはじめました。最初は漂着物に付いて遠いところからやってくるダニかなと想像しましたが、どうもそうではなく、波打ち際の環境が好きな種類がいるらしいんですね。それに気がついたのは、琵琶湖の湖岸で全く同じ種類が出たからです。そこで更に諏訪湖とか芦ノ湖とか各地の湖をまわることになりました。他にも洞窟の入り口とか温泉とか、全国調査で対象外だったところをできるだけ制覇しようと考えています。
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都市生物を構成する5つの動物群集類型。都市残留動物、帰化動物、南方系動物、岩壁動物、廃棄物依存動物。 |
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都心の高速道路下の植え込み(下)の土壌からみつかったサカモリコイタダニ(中)の故郷は、海岸の風衝低木林(上)だった。 |
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デパートの屋上(下)からみつかったシワイボダニ(上左)の故郷は、断崖絶壁(上右)と推定される。 |
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環境庁の調査で北海道釧路湿原へ。この時もササラダニの新種を発見。 |
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