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研究館より

ラボ日記

2024.03.15

ソメイヨシノが実るとき

生命誌研究館は広いJT医薬総合研究所の敷地内にこじんまりと並んでいるのですが,門から続くソメイヨシノの並木はそれなりに立派です。ソメイヨシノは単為生殖のクローンであるためソメイヨシノ同士の受粉では実はならない(自家不和合),とされています。ところが,件の桜並木では妙にたくさんの実を見かけました。不思議に思っていたところ,あるとき「ソメイヨシノと近縁種の間では受粉が起きて実がなる」という話を聞いて合点がいきました。桜並木が途切れた玄関前に一本だけ,ソメイヨシノよりもやや花が大振りで白っぽくまばらな桜があるのです。きっとこの木の花粉がソメイヨシノを結実させたのでしょう。一昨年の夏に病気で倒木の恐れがあるとのことで伐採されてしまったのですが,確かに昨年の春はソメイヨシノの実が少なかったような気がします。

この実る(っていた)桜並木では,毎年3月下旬から4月頭にかけて「通り抜け」を実施しています。10〜18時ということで,明るい時間帯も良いですが,17時過ぎの少し日が暮れて敷地内の照明でうすぼんやりと照らされている様子は大層趣があります。酒盛りできたら楽しそうだなと毎年思いますが,研究所の敷地内のため当然飲食は禁止です。

桜の話を書いていたら,ふと自分が小学校を卒業したときの「呼びかけ」の一節を思い出しました。たしか呼びかけを作る係だったような?
「暖かな春の日差しを浴びて,桜の花の蕾もほころびはじめた今日この日」
蕾なんだから花なのは当たり前だろ,という今更ながらのツッコミはさておき,気象庁のホームページによると私が小学校を卒業した1998年の東京の桜の開花は3月24日とのことで,記憶違いではなさそうです。今年の東京の開花予想日は3月19日頃(3月7日時点での情報)とのことで,四半世紀前より確実に早くなっているようです。。大阪の予想は3月23日頃です。「通り抜け」は3月26日から4月5日に実施することが先ほどアナウンスされましたので,バッチリ見頃の桜をお楽しみいただけそうです。

宇賀神 篤 (研究員)

所属: 昆虫食性進化研究室

現在はアゲハチョウの脳の研究を進めています。これまでの研究はリサーチマップを参照。