論文

Wachi, N., Kusumi, J., Tzeng, H.-Y., and Su Z.-H. (2016)

Genome-wide sequence data suggest the possibility of pollinator sharing by host shift in dioecious figs (Moraceae, Ficus).

Mol. Ecol. 25: 5732-5746. doi:10.1111/mec.13876.

解説

 イチジク属植物とイチジクコバチの間では授粉と産卵というトレードオフのもとに相利共生関係が構築されています。この相利共生関係は、種特異性が高く"1種対1種"と言われてきましたが、近年co-pollinator(1種の植物に複数種の送粉コバチ)とpollinator-sharing(複数種の植物に1種の送粉コバチ)という現象が多く観察されるようになりました。本論文は、ミトコンドリアDNAとマイクサテライトマーカーのほかに、ddRAD-seqというゲノム規模の配列データを用いて、3種のイチジク属植物が1種の送粉コバチを共有している可能性を示しました。また、この送粉コバチの共有はコバチの寄主転換によってもたらした結果であることも重ねて示唆されました。一方、植物とコバチの地域集団間の同調的遺伝分化も見られました。


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