
動物の身体のかたちは、柔らかな細胞と、細胞外のコラーゲンや骨など細胞よりも頑丈な構造体から形成されます。主にモデル生物であるゼブラフィッシュを使って、細胞がコラーゲンなどの非細胞素材を組み立てて身体を構築する仕組みについて明らかにします。
研究内容
動物の身体づくりの仕組みは、胚発生期と、それ以降の時期では大きく異なると考えられます。胚発生期の形は、細胞の積み重なりによって形成されるので、細胞の分化、分裂、移動、変形などが研究対象となります。しかし、胚発生以降の動物の形を決めているのは骨であり、細胞が分泌したコラーゲンなどの細胞外マトリックス(ECM)因子が固化したものです。したがって、胚発生以降の身体の形が出来上がる仕組みを理解するためには、細胞が身体の建築資材であるECMの構造体を組み立てる工程を調べ、その制御機構を明らかにする必要があります。
私たちの研究室では、細胞がECM、特にコラーゲン線維の構造体を正確に配向化させることで構築される身体の形態形成原理に着目して研究を進めています。主に組織が透明で観察が容易なゼブラフィッシュのヒレの形づくりをモデルとして、細胞-コラーゲン線維間の相互作用の動態をライブで解析し、動物の身体や組織・器官の形がつくられる仕組みを解き明かそうとしています。また、細胞がコラーゲンなどの建築資材を組み立てることでつくる身体の形態形成過程を、ゼブラフィッシュ以外の動物でも調べることで、生物種を超えて存在する形づくりの共通原理に迫ります。

ゼブラフィッシュ(Danio rerio)