ラボ日記

研究セクターのメンバーが、日常で思ったことや実験の現場の様子を紹介します。月二回、メンバーが交替で更新しています。

2019年8月1日

プラナリア、本格始動!

橋本 主税

4月よりプラナリアを本格的に導入しました。現在は、プラナリアをメインに実験が進んでいます。カエル・イモリももちろん続けますが、以前にこの欄でも書いた通り、知りたい仮説が脊椎動物では複雑すぎてなかなか進まないので、まずは最も単純な系としてプラナリアを解析し、その結果を元に脊椎動物に戻ろうと考えています。

本来、カエル・イモリで知りたかったことは分化・未分化の関係です。プラナリアはこの関係性が非常にわかりやすいので材料として選んだのですが、副産物もあります。それは進化的に面白い位置にいるということです。単細胞生物は基本的に分裂を繰り返して同じものを作るわけですから言わば幹細胞的だと考えられます。栄養条件などが悪くなると分裂を止めて胞子形成が始まります。これは生殖細胞と考えてもいいでしょう。だから、生殖細胞は幹細胞から生じます。プラナリアは、種によっても異なるでしょうが、基本的には自切(自らの体をふたつにちぎってそれぞれが再生)することで増殖します。この場合の子孫個体を作るのは多能生幹細胞です。種によっては、環境条件の変化で配偶子形成が起こります。この場合も単細胞生物と同様に幹細胞から生殖細胞が生じると考えても良さそうです。

最も祖先的な多細胞生物と考えられているカイメンやヒドラなども幹細胞から生殖細胞が形成されると言われています。しかし、多くの多細胞生物ではまず生殖細胞(卵と精子)から始まり、生殖細胞系列を維持することで子孫を維持するわけです。この場合、体内にある幹細胞も生殖細胞から生じると考えざるを得ません。この多能生幹細胞と生殖細胞の「意味《についてもプラナリアは何かを見せてくれるかも知れません。

カエルからヒントを得たひとつの仮説があり、それをプラナリアで証明できたらいいなと、いまは増殖と分化に関わると考えられる遺伝子をプラナリアからとってきています。プラナリアの研究は動き始めたばかりですが、いままでにはなかった面白いものを見せてくれそうでワクワクしています。

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