ラボ日記

研究セクターのメンバーが、日常で思ったことや実験の現場の様子を紹介します。月二回、メンバーが交替で更新しています。

2018年4月16日

レクチャー&ミニコンサート「知を生むこと、音楽を生むこと ~クモの発生を見つめて~」を終えて

岩崎佐和

3月の生命誌の日イベント「知を生むこと、音楽を生むこと ~クモの発生を見つめて~」が終了しました。当初はレクチャー&ミニコンサートという形でお知らせしましたが、蓋を開けてみると参加者の皆さんと一緒にクモの発生を見つめ、新しく気づいたことを共有しながら、図形的な楽譜を作成し演奏するという、ワークショップ要素も取り入れたイベントとなりました。

私と西井さんは2016年10月に「細胞の音楽」というワークショップイベントを企画しています。この時は参加者の皆さんにハエやクモの細胞の動きを納めた動画を見て頂き、自分がその中の一つの細胞になったつもりでコミュニケーションする(音を使って)ということに挑戦しました。皆様にはいつもと違う雰囲気の中で音を出すことを楽しんで頂けたのではないかと思っています。私自身もとても面白い感覚を得ることができ、その日全員で声を重ねていった瞬間などを思い返しては、細胞の振る舞いに思いを馳せたりすることがあります。

今回の企画では、より深い研究内容に基づいて音楽を作れないかと思い、レクチャー&ミニコンサートという形で立ち上げました。しかし、実際に音楽家の西井さんと打ち合わせを重ねていくうちに、私が今伝えたいことは「新しい知識も音楽も、そこにぽこぽこ生まれている」ということだと気がつき、少し方向転換をさせてもらいました。西井さんは、その場で音楽を作っていくプロセスを見せることで音楽がぽこぽこ生まれていく様子を実演する。そして私も、クモの卵をよくよく見つめることで自分が今まで知らなかったことがぽこぽこ見えてきて、それを共有することで新しい知識が広がることを実演しようと試みました。

当日はあっという間に過ぎ去ってしまいました。実は西井さんのキーボードが故障するハプニングがあり、急遽鍵盤ハーモニカで演奏することに。また、受付係として来てくださっていた館内案内スタッフの藤原正子さんが素晴らしいバイオリンの腕前を披露してくださり、暖かい雰囲気の演奏会となりました。私のレクチャーの合間に音楽が入ってきてコンサートに流れていくという予想外の展開もあり、予定調和ではなくその瞬間に一番良い時間を作るということを大事にしたイベントになったと思います。具体的な内容としては、研究と芸術の両方でキーワードとなる「表現」について話をした後、クモの発生動画をみなさんと一緒に見て、時間やサイズを意識しながら細胞が動く様子を記述し音にしていきました。その後、私の研究内容と、西井さんの音楽の作り方に関するレクチャーがあり、最後に演奏をして終演となりました。終演後は会場外に設けたクモの卵観察コーナーで、生きているクモの発生する様子を見て頂きました。観察コーナーを快く引き受けてくださった小田広樹研究員のおかげで、最新論文の知見も紹介することができました。

イベントについては、会場の皆様も暖かく参加してくださったおかげで、非常に有意義であったと感じました。しかし落ち着いて振り返ってみると、やはり研究内容に踏み込んだ内容で音楽を作る難しさも実感しました。もう少し私自身の研究内容に、ストーリー、写真や図の持つ魅力があれば違う音楽ができたのかなと、悔しさも感じました。他の分野と一緒に知見を広げ楽しむためには、そんなことも頭の片隅に置きながら日々研究していくことが必要なのかもしれません。

最後になりましたが、イベントの内容を一緒に考えてくれた音楽家の西井夕紀子さん、当日急遽バイオリニストとして大活躍してくださったスタッフの藤原正子さん、生きているオオヒメグモの観察コーナーを熱く担当してくださった小田広樹研究員、この企画を支えてくださった全館活動チーフの平川美夏さん、そして何より当日お越しくださったお客様のおかげで、素晴らしいイベントとなりました。本当にありがとうございました!それぞれにとって何か少し新しいことに出会える時間ができたなら、幸いです。

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