論文

Uozumi, T., Ishiwata, K., Grygier, M. J., Sanoamuang, L.-o. and Su Z.-H.  (2021)

Three nuclear protein-coding genes corroborate a recent phylogenomic model of the Branchiopoda (Crustacea) and provide estimates of the divergence times of the major branchiopodan taxa

Genes Genet. Syst. (2021) 96, p. 1–12

解説

3つの核蛋白遺伝子による鰓脚類の系統解析と分岐年代推定

鰓脚綱(甲殻亜門)は、6つの高次分類群、つまりホウネンエビ類、カブトエビ類、タマカイエビ類、カイエビ類、キクレステリアとミジンコ類によって構成され、形態とライフサイクルには多様性が富む。しかし、それらの分類群間の系統関係が長い間論争が続いていた。 本研究は、DNA合成酵素とRNA合成酵素をコードする3つのオーソロガス遺伝子のアミノ酸配列を用いて、鰓脚類の高次分類群の系統解析と分岐年代の推定を行った。その結果、鰓脚類の単系統性が強く支持され、また、高次分類群間の系統関係も明らかになった。まず、ホウネンエビ類が分岐し、次いで、カブトエビ類、タマカイエビ類、カイエビ類、キクレステリアとミジンコ類の順に分かれた。また、同じ遺伝子の塩基配列を用いた解析によって、ホウネンエビ類、ブトエビ類とミジンコ類の内部の種間の系統関係も明らかになった。さらに、アミノ酸配列データに基づく統計的検定を行い、これまでに提唱されていたカブトエビ類の系統的位置のいくつかの仮説を却下した。一方、本研究の結果はトランスクリプトームによる最近の研究結果とも一致しており、本研究に用いた3つの遺伝子による鰓脚類の高次分類群の系統解析の有効性が確認された。化石データに基づく分岐年代推定では、現生の鰓脚類の最初の分岐がカンブリア紀初期に遡ることが判明した。また、主要な分類群が分岐した後、それらの分類群内の多様化が長期間に渡り進んでおらず、ペルム紀後期以降に始まったことが示唆された。



上:本研究で明らかにした鰓脚類の系統関係と分岐年代
下:本研究に用いた鰓脚類各種



ラボ日記:身近な生き物である鰓脚類の進化

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