論文

Okamoto, T. and Su, Z.-H. (2021)

Chemical analysis of floral scents in sympatric Ficus species: highlighting different compositions of floral scents in morphologically and phylogenetically close species.

Plant. Syst. Evol. 307, 45 (2021).

解説

イチジク属植物の花の匂いの化学解析

イチジク属植物は、寄主特有のイチジクコバチによって受粉される。ほとんどの場合、1種のコバチが1種のイチジクの花粉を運んでおり、この高い種特異性はイチジクが放出する特定の花の匂いに対するコバチの応答によって維持される。我々は、同所的に生育する近縁な植物種間では、形態的な特徴が異なる種間よりも、形態的に似た種間で花の匂いに大きな違いが見られると仮説をたて検証を行った。仮説の検証のため、同所的に生育する5種のイチジクの花の匂いを捕集、ガスクロマトグラフ質量分析計で分析を行い、花の匂いの種間の違いを調べた。また、Y字管を用いてイチジクコバチの花の匂いに対する選好性を分析した。さらに、イチジクおよびイチジクコバチの種間の遺伝的距離、イチジクの形態的特徴の種間差を算出し、花の匂いの種間差との比較を行った。その結果、樹高やイチジクコバチの侵入口(花嚢の先端にある小さな穴)のサイズが類似しているイチジク種では、系統的に近縁であっても、明確に異なる花の匂いを放出していることが明らかになった。



7/17研究員レクチャー「研究者が語る『昆虫と植物のかけひきの妙』 」で蘇研究員が講演します。
また講演後には、永田和宏館長と共に研究対象の魅力と展望を語り合います。
7/17研究員レクチャ「 研究者が語る『昆虫と植物のかけひきの妙』 」


日曜開館スタート記念特別企画展!1階:ホール中央に、論文の実験に使用した「花の匂いを捕集する装置」や「イチジクコバチの花の匂いに対する選好性を見るY字管」を展示しています。
ー日曜開館スタート記念特別企画展!ー  食草園が誘う 昆虫と植物のかけひきの妙

イチジク属植物とイチジクコバチについて、詳しく知りたい方はこちらをご覧ください
「イチジク属植物とイチジクコバチの共生関係のしくみについて」

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