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研究者が語る「昆虫と植物のかけひきの妙」

詳細

日時

2021/07/17(土) 14:00〜16:00

場所

【現地開催】 JT生命誌研究館 1Fホール奥
【ライブ配信】 JT生命誌研究館 ホームページ

出演者

JT生命誌研究館

主催

JT生命誌研究館

参加方法

参加無料・申込み不要
【現地開催】 定員50名
【ライブ配信】 当日このページでライブ配信を行います。
※感染拡大の状況により変更になる場合があります。
※場内を撮影いたしますので、ご了承ください。 

内容

7月3日より開催の企画展「昆虫と植物のかけひきの妙」の開催を記念する催しです。生命誌研究館の「Ω食草園」で昆虫と植物の関係を研究する2名の研究者が、永田和宏館長と共に、それぞれの研究対象の魅力と展望を語り合います。企画展の制作スタッフによる展示の見どころ案内も行います。

〜プログラム〜
13:30  開場
14:00  永田和宏館長のごあいさつ
14:10  表現空間としての食草園 ー企画展の見どころ紹介ー
         表現セクター研究員
14:30  研究空間としての食草園
     「チョウが食草を選ぶ、本能のしくみに迫る」昆虫食性進化研究室 尾崎克久室長
     「イチジク属植物とイチジクコバチの共生から進化を探る」系統進化研究室 蘇智慧室長
15:30  トーク「昆虫と植物のかけひきの妙」
     昆虫食性進化研究室 尾崎克久室長
     系統進化研究室 蘇智慧室長
     (ファシリテーター・永田和宏館長)
16:00   閉会

研究員レクチャーとは

JT生命誌研究館の研究員が、探求と発見の日々を自らお話します。
進行形の研究、そこで考えたこと、苦労話など研究を身近に感じる絶好の場です。
レクチャーを聞いた後には、会場も一体となって話の輪が広がります。入場無料、予約不要です。

開催記録

 

レクチャー記録動画


 
 

当日お答えしきれなかったご質問への回答

 

Q1. 特定の物質に感受性を持つことがあるという事は、好嫌のいずれかも働く事なので、その事が進化の原動力となるのか。

A1-1. 蘇研究員からはこちらでお答えしています。
A1-2. 尾崎研究員より
例えば、多くの動物から嫌われていて誰も食べない植物を好む昆虫が現れた場合、その植物を独占して利用することができます。餌をめぐって競争する相手がいないという状況は、生存上の大きなメリットになると考えることができます。例えば、クスノキ科の植物は樟脳(防虫剤)の原料ですので多くの昆虫から嫌われていますが、アオスジアゲハの食草です。好きか嫌いかの変化は、進化にとって重要な役割を持つ可能性が高いと考えています。
 

Q2.  イチジクコバチの幼虫は親コバチを食べますか?

A2. 母コバチは産卵を終えると花嚢の中で死んでしまいますが、生まれてきた幼虫は花嚢の虫こぶの中で植物の栄養によって育つので、母親の亡骸に接することはなく、当然食べることもないです。(蘇研究員)
 

Q3. 幼虫が突然変異から新しく毒を分解できるものを手に入れたとして、わざわざその毒を持つ植物(先祖で食べてなかったもの)を食べていくのは何故か。たまたま間違えて食べたのか?毒素の濃度の「低さ」は幼虫に影響があるのか(低いと食べない等)

A3. 仮にある生物が現在食べている餌とは無関係な解毒機能を突然変異で獲得したとしても、同時にその毒を持っている食べ物を自分の餌であると「認識」できなければ食べることがありませんので、餌を変更するのに好都合な突然変異が最低でも二つ同時に起きる必要があります。これは確率としては極めて低いと考えられますので、個人的には解毒機能の獲得は餌を変更した後の最適化で起きるものと考えています。おそらく、餌に対する好みの変化が先にあります。また、生きていく上で不必要な解毒機能を維持することは、限られたエネルギーや資源の無駄遣いになりますので、おそらく生存にとって不利に働くのではないかと思います。生存に不利な形質を持つ生き物は淘汰を受けて子孫を残せないというのが、ダーウィン進化論の基本的な考え方です。(尾崎研究員)
 

Q4. キアゲハはこれから何万年かした頃には姿が変わっている可能性がありますか?

A4. とても良い質問だと思います。キアゲハも含めて今いる生き物は全て、過去の変化の蓄積でできあがったものですが、今後も変化を続けていきますので、数万年とか数百万年といった長い時間が経ったら姿が変わっている可能性があります。生きている場所が、もし変化したら子孫を残せないような環境であれば、ずっと姿が変わらないという変化(変わらないという進化)を続けることになります。関わり合う生き物たちなど、生きている環境の影響を受けて変化の方向が決まります。ちなみに、ナミアゲハとキアゲハは人間の目にはそっくりに見えますが、キアゲハのメス成虫は紫外線を反射する色素を持っているので、紫外線を見ることができる昆虫たちや鳥たちには全然違う色に見えていると言われています。このように、生き物の世界には人間には認識できない変化もあるので、近年の数十年で起きた変化に気づいていないだけというものもあるかもしれません。(尾崎研究員)