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チョウが食草を見分けるしくみを探る昆虫食性進化研究室ー 尾崎 克久

チョウは食草の選び方を生まれながらにして知っています。
本能のしくみを分子の言葉で理解し、どの様な変化が進化を引き起こしたのか解明します。

食草の選択は間違えてはならない

アゲハチョウの幼虫は、決まった植物だけを食べる偏食家です。しかし、幼虫が広大な環境を探し回って、自力で食草を見つけ出すことは困難です。そこで、飛ぶことができるメス成虫が、正確に植物を見分けて産卵し、子孫を残しています。
我々の取り組みによって、メス成虫前脚ふ節の化学感覚毛では、7回膜貫通型の受容体が味覚センサーとして働いており、食草の選択に関与していることが明らかになりました。花の蜜を餌とする成虫が、前脚で味見をして幼虫の食草なのか判断するのです。
味見を間違えることは許されませんが、成虫には練習を重ねて徐々に上達する時間はないので、生まれながらに知っている行動、つまり「本能」としてゲノムに刻まれ正確に受け継がれています。

本能の仕組みも変化する

アゲハチョウは、食草転換が種分化につながったことが知られています。間違えてはならないはずの本能が、進化の過程で変化したのです。
かつては植物の変化を追いかけるように蝶が変化した、共進化のモデルであると考えられていましたが、我々の取り組みによって、実際には植物の類縁性とは無関係に、含有する化合物が類似するものを蝶が利用していたという、新しい進化の姿が見えました。

アゲハチョウが描く進化の物語

食草を選択する仕組みを分子の言葉で理解し、食性が異なる複数の種で比較することができれば、産卵場所の好みが変わる原因となった最初の変化を見つけることが可能になるでしょう。

年度別活動報告

これまでの学位取得者とテーマ

  • 平成19年度 修士論文 宇戸口愛 「アゲハチョウ産卵機構における受容体遺伝子PxutGr1の機能解明への取り組み」
  • 平成18年度 修士論文 山田 歩 「アゲハチョウの産卵刺激物質受容システムの解明」

これまでの奨励研究員(ポスドク)はこちら

このラボから生まれた季刊「生命誌」

季刊「生命誌」100号
リサーチ:生命誌研究のこれまでと今

研究者は日々、何を見て、何に驚き、何を想うのか。論文には書かれない、今まさに動いている研究の日常を語りました。

季刊「生命誌」82号
フロム BRH:生きもの愛づる人びとの物語り2

研究と表現の両輪による活動を続けて20年、明確なまとまりが見えてきました。これをどのように生かし、どう展開するか。次の10年に向けて考えています。

季刊「生命誌」72号
生命誌の広がり:都市の中の蝶のオアシス

吉川 寛 顧問(在任期間 2000〜2020)がラボでの仕事と同時に始め作成した「都会のオアシス蝶図鑑」です。自宅近くで撮り続けた蝶の生態写真と観察記録の10年を楽しんでください。

季刊「生命誌」69号
リサーチ:「味覚受容体遺伝子がむすぶ化合物と産卵行動」

雌チョウの前脚ふ節の感覚子にある味覚受容体をはたらかないようにするRNAiを用いた実験により、チョウの産卵行動と遺伝子の結びつきをみごとに証明しました。

季刊「生命誌」62号
クロス:「味見が分かつ種の進化」

食植性の昆虫には広食性と狭食性があります。ショウジョウバエは広食、アゲハチョウは狭食です。それぞれの味覚受容のしくみを対比しながら、種分化の歴史を読み解きます。

季刊「生命誌」50号
リサーチ:「チョウの味覚から種分化を探る」

チョウの幼虫が食べる植物(食草)は種ごとに決まっています。葉っぱを認識するしくみと葉に含まれる産卵刺激物質との対応を調べれば、チョウの種分化の物語をひもとけるかもしれません。

季刊「生命誌」46号
サイエンティスト・ライブラリー:DNAのふえ方から見えた生きものの姿 吉川 寛

チョウ好き、それもイモムシを育てるのが好きで、アゲハチョウをカンアオイで育てたらギフチョウ風になったという話はどう見てもBRH向き。もっともこれは家での研究で、大学では枯草菌でのDNA複製という分子生物学の重要テーマで見事な成果をあげました。

季刊「生命誌」36号
from LAB

※「カードサンプルを見る」をクリックし、横にスクロールしてご覧ください。

私たちの研究室ではアゲハと食草の親密な関係がどのように生まれ、また変化するかについて研究しています。

季刊「生命誌」32号
リサーチ:「チョウと食草をつなぐ味覚」

モリモリ葉っぱを食べるチョウの幼虫の食欲のすごさをご存知の方も多いでしょう。これも、雌チョウが、幼虫の好んで食べる葉っぱを見分けて卵を産み付けているからです。

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