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館長・顧問より

館長よりご挨拶

中村館長

ようこそBRHへ

2019年が始まりました。昨年館の全員(除:館長・顧問)で「BRH将来ビジョンプロジェクト」を立ち上げ、議論をまとめました。まだ中間報告ですが、今年から少しづつ具体化を求めていくことになると思います。「人間は生きものであり、自然の一部である」というあたりまえのことがあたりまえと言っているだけではすまなくなってきています。AI(人工知能)が人間を超えるなどと安易に言うのは止めなければなりませんが、生活のすべてがコンピュータ化されたところに生れ落ちた赤ちゃんは生きものとして生きることになるのかどうか。どこにも答はありません。でも生命誌としては考えないわけにはいきません。

季刊「生命誌」が100号になります。今年はこれまでをふり返り、これからを考えていく年になるでしょう。そこで大事なのはやはり人間について考えることです。昨年書いた『「ふつうのおんなの子」のちから 』(集英社)は、題名は生命誌と無関係に見えますが、上に書いた事柄を考えた結果出てきた、私にとっては大事な視点です。今年も「ふつう」を大事にしたいと思います。

そこで今年はテーマを特定しないことにしました。動詞で考えるという基本を大切に、これまでのテーマを思い返し、また新しいものを探す旅の年にしようと思います。現在の社会のありよう、学問のありように眼を向けて今大事なことは何かを考えていきます。とくに昨年、一昨年の「容」と「和」を巡ってはたくさん考えなければならないと思っています。

今年もBRHの活動に関心を持ち、さまざまな形で参加して下さいますよう、よろしくお願いいたします。

2019年2月1日
JT生命誌研究館館長 中村桂子

顧問よりご挨拶

近藤寿人顧問

2019年5月から、生命誌研究館の顧問を務めるようになった、近藤寿人です。
私は、岡田節人初代館長がそれ以前に京都大学教授であった年代には5年間助手を務めましたし、中村桂子館長にはさまざまな場面でお世話になりました。そのようなご縁もあって、これまでは外部から研究館を楽しんで来ました。これからは、内部の人間として生命誌研究館の活動を支えていくことになります。よろしくお願いします。
生命誌研究館には、同館の趣旨を反映した個性豊かな4つの研究グループが研究活動を展開しています。吉田顧問とともに私に課された役割の一つは、これらのグループの研究を推進し、発展させて、最先端の研究としての結実を助けることだと考えています。それらの生々しい最新の研究を皆様の目に触れるようにして、皆様に、自然・いきもの・現代の科学を理解しつつ楽しんでいただけるようにしたい——それが私の願いです。
私の専門は、発生生物学、幹細胞科学、機能ゲノム学にまたがります。現代的な生命科学を、「自然の中の一つの生きものとしての人間」という観点から、皆様と直接お話しする機会があればと思っています。ちなみに、これまで私の論文に登場した生きものは、ヒト、マウス、ニワトリ、ウズラ、イモリ、ツメガエル、メダカ、ゼブラフィッシュ、ショウジョウバエ、細菌です。幅広く生きものと付き合ってきました。あわせてよろしくお願い致します。

2019年12月2日
JT生命誌研究館顧問 近藤寿人

近藤壽人顧問

プロフィール

福岡県出身。1949年生。京都大学大学院修了、ウイスコンシン大学研究員、京都大学助手・助教授、名古屋大学教授、大阪大学教授、京都産業大学教授をへて、現在は京都産業大学総合学術研究所員を兼務。


著書ほか

  • 近藤寿人(編)「芸術と脳——絵画と文学、時間と空間の脳科学」(大阪大学出版会)
  • Hisato Kondoh & Atsushi Kuroiwa (Eds.) “New Principles in Developmental Processes” (Springer)
  • Hisato Kondoh & Robin Lovell-Badge (Eds.) “Sox2: Biology and Role in Development and Disease” (Academic Press/Elsevier)
  • 近藤誘導分化プロジェクト「命(いのち)が形をつくるとき」動画(科学技術振興機構/JST)
    (私がJST のERATO「近藤誘導分化プロジェクト(2003年終了)」で実施した、メダカを中心とした研究を紹介したビデオ「命(いのち)が形をつくるとき(30分)」は、教材として評価され、幾つかの県の教育委員会で採用されました。生命誌研究館の活動に関心を持たれる方には、楽しんでいただけるビデオだと思います。残念ながら現在は、 ストリーミング上映はされていませんが、DVD版を入手希望の方は、https://www.jst.go.jp/erato/research/old.html でご確認の上、 eratowww@jst.go.jp に、タイトル名の「命(いのち)が形をつくるとき」、お名前、ご住所(送付先)、用途(例:個人視聴)、DVDの存在をどこで知ったか(例:JT生命誌研究館のWeb)と共にお申込み下さい。この機会にご案内いたします。)
  • 季刊「生命誌」77号サイエンティスト・ライブラリー「転写制御によって開かれる発生のプログラムを探して」

吉田賢右顧問

2019年の5月から顧問となった吉田です。
私はもともと、生命の起源や進化に興味を持っていたのですが、私がバイオの研究を始めたころは、まだ進化が解析的な学問になっていませんでした。そこで私は、細胞がどうやってエネルギー通貨であるATPを合成しているのか、40年ちかく研究してきました。
また、タンパク質が複雑な立体構造を形成する際にそれを手助けするタンパク質の研究も30年近く続けてきました。数年前に実験室を閉じた後は、古代ゲノムの解析ができるようになって驚くべき発見が続いている人類進化の研究をわくわくしながらウオッチしています。
森羅万象には起承転結があります。無限の過去から無限の未来まで永遠不変というものは何一つありません。私たちが今、目にするあらゆるものは、それ固有の起承転結の一過程です。
ある事象を本当に理解するには、その起源と展開と消滅を理解しなければなりません。現在、バイオ研究がめざましく進歩しつつあり、生き物の仕組みがどんどん明らかになっています。そして、知れば知るほどその巧妙さに感心し、畏敬の念すら覚えます。
でも、「なぜそうなっているのですか」と問われれば、専門家でもよく考えることになります。なんとか説明をしても、「説明はわかりました、でもなぜそうなっているのですか」とまた同じ質問をすると、さらに答えは難しい。この質問を3度くりかえせば、そこはもう学問の最深部です。
一番簡単な答えは、無計画無作為な物理法則の下でこんな巧妙な調和のとれたものができるはずがない、高度な知性を持った超越者が世界を設計し作成したのだ、というものです。昆虫学者のファーブルなどの科学者もそう考えていましたし、今でもインテリジェント・デザインという超越者の存在を主張する有力な運動が米国にあります。
この問いに答えるためには、その巧妙な仕組みを明らかにするだけでなく、それがどのようにして生起し形成され変化してきたのか、そこまで理解する必要があります。
現在、バイオ研究の華やかな部分は“巧妙な仕組み”の発見ですが、それがどうやって出来てきたのか、そこまで関心を広げているのが、生命誌研究館(Biohistory Research Hall)と思います。単純化して言えば、バイオ研究に時間軸を導入しているのです。小じんまりした研究グループおよびアピール部門を持つ施設ですが、ユニークな情報発信の源となるように活動していきます。

2019年12月2日
JT生命誌研究館顧問 吉田賢右

吉田賢右顧問

プロフィール

1944年 群馬県に生まれる
1966年 東京大学 理学部 生物化学科 卒業
1972年 東京大学 理学系研究科 生物化学専攻課程 博士課程修了
1972年 自治医科大学 第一生化学 助手
1985年 東京工業大学 理学部 天然物化学研究施設 助教授
1990年 東京工業大学 生命理工学部 遺伝生化学 教授
1992年 東京工業大学 資源化学研究所 生物資源部門 教授
2009年 京都産業大学 工学部 教授
2010年 京都産業大学 総合生命科学部 教授
2014年~現在 京都産業大学 シニアリサーチフェロー
2019年5月~現在 生命誌研究館 顧問 


著書ほか