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20.09.10

[論文発表] 周期パターンを生む多様な波の振る舞いを制御する仕組みの解明

 独自に開拓したモデル生物、オオヒメグモを用いた研究で、節足動物のからだの繰り返し構造(体節)の基となる空間的周期パターンを生む仕組みを解明し、論文がオンライン雑誌Science Advancesに掲載されました。
 本研究では、オオヒメグモを用いた最初の本格的なゲノム規模の解析を行っており、ヘッジホッグシグナルと呼ばれている細胞間情報伝達機構によって制御される重要な遺伝子を特定しています。この遺伝子の発現と機能の解析から、既知の2種類の遺伝子発現の波に加えて、第三の波の存在を示し、それらの波がからだの3領域(頭部、胸部、後体部)に対応して空間的周期パターンに転換することを明らかにしました(下図)。さらに、これらの3つの波が示す異なる振る舞いすべてが、ヘッジホッグシグナルによって負に制御されるmsx1遺伝子を介して制御されていることを証明しました。
 節足動物の卵では共通して、体節の基となる空間的周期パターンが形成されますが、昆虫で築かれた知識とは大きく異なる仕組みを昆虫から系統的に離れている鋏角類のクモで明らかにしています。これは、細胞の仕切りが不完全な状態で進行する体節形成(ハエなど多くの昆虫で見られる状態)と、細胞の仕切りが早くに確立して進行する体節形成の違い(クモの状態)を反映していると考えられます。今回のオオヒメグモでの発見は、節足動物の祖先での体節形成の仕組みとその多様化機構の理解につながると期待されます。加えて、ヘッジホッグシグナルは脊椎動物の四肢のパターン形成においても中心的役割を果たしていることが知られており、今回オオヒメグモにおいて発見した仕組みとの関連性を追究することで動物のからだに見られる繰り返し構造の起源に迫れると考えています。
詳しくはプレスリリースをご覧ください。
こちらの論文ページでも解説しています。
9月15日更新のラボ日記もご覧ください。
20.11.12 毎日新聞 朝刊「科学の森」に「モデル生物、新規開拓に挑む 進化の謎に迫るため」として本研究が取り上げられました。

msx1遺伝子の動的発現(マゼンタ色).胚盤の中心から始まる遺伝子発現の波が空間的周期パターンへと転換する様子が分かる。

[論文情報]

 

Yasuko Akiyama-Oda and Hiroki Oda

Hedgehog signaling controls segmentation dynamics and diversity via msx1 in a spider embryo

Science Advances 6, eaba7261 (2020)
オープンアクセス論文(CC BY 4.0)

https://doi.org/10.1126/sciadv.aba7261

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