[番外編] 音楽に聴く生命誌 1998年19号

 昨秋、JT生命誌研究館は京都市音楽芸術振興財団と共催して、「音楽に聴く生命誌」と冠した音楽とサイエンストークの夕べを催した。過去数回の当館企画の音楽イベントと比べると、今回は格段に大がかりなものとなり、井上道義指揮の京都市交響楽団のフルメンバー出演により、京都コンサートホールの大ホールで行なわれた。当日は幸いにして、約1200人という多数の聴衆を得て、企画者としてはとても嬉しかった。
 音楽と組み合わせた生命誌研究館の企画を立てるにあたって、私としては「何故この曲を選んだか」といった解説をできるだけ省略したいと思っている。というのは、いくら言葉をつらねても、それらは多かれ少なかれこじつけであり、それよりも各人が自由な心で、生命ある自然(生物学の提供する)との交流を音楽を通じて楽しんでいただきたいと念じているからである。
 演奏会のあとでは多くの数の感想文を寄せていただき、それらは長く記憶に留めておきたいものである。当日おいでいただけなかった『季刊生命誌』の読者とも、当日の印象を分かちあいたい、という私の願いもこめて、それらの中からいくらかを選び、お書きくださった方々の了承もないままに、私が適宜に編集を加えてニュース欄(p.25)に掲載することとした。感想を寄せてくださった全部の方々に深く感謝するとともに、私の勝手をお許し頂きたい。いただいた感想文は、私の願望のじつに素晴らしい具現化であったと思っている。したがって、ニュースの題は「生命誌を音楽に聴いた」とした。
 当日のプログラムの前半は、一般に難解とされる近年の作品であり、ラウタヴァーラの曲の如きは聴衆の方々はもちろん、演奏者も初めて耳にするものである。それが、かくも大きな印象を与えたことは、生命誌というコンセプトをもった、一夕のコンサートをつくることによって、現代の音楽を多くの方々に楽しんでいただく、という効果もあったらしいことを誇りに思っている次第。

(おかだ・ときんど/生命誌研究館名誉顧問)

当日プログラム
吉松隆:弦楽オーケストラとピアノのための〈朱鷺によせる哀歌〉op.12
卜一ク 中村桂子

ラウタヴァーラ:〈極北への順歌〉鳥たちとオーケストラのための協奏曲
対談 井上道義vs.岡田節人

ドヴォルザーク:交響曲第8番卜長調

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