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BRH公開セミナー 「脊椎動物ゲノムの比較解析とカエルの高効率トランスジェニックシステムを用いた発生制御ネットワークの解析―Functional genomics in Xenopus」

詳細

日時

2007/05/25(金)

場所

JT生命誌研究館

出演者

荻野肇(Department of Biology, University of Virginia)

内容

近年、ヒトからマウス、トリ、カエル、サカナに至るまで、様々な種の全ゲノム配列が急速に決定されつつある。それらの比較解析から、タンパク質のコード領域の3倍以上の非コード領域が脊椎動物を通じて保存されていることが明らかになってきた。モジュール状に分散する保存非コード領域の多くはエンハンサーなどの転写調節配列と考えられ、その迅速かつ網羅的な解析はポストゲノムシークエンシング時代の重要な課題である。

これら機能ゲノム解析をおこなうためには、機動力の高い遺伝子導入システムが必要不可欠である。しかし、従来のマウスやサカナのトランスジェニックシステムでは、その手間とコスト、導入遺伝子のモザイク発現などの問題から、この要求を満たすことは困難である。

我々はこの問題を解決するため、新しい発生遺伝学のモデル動物として注目を浴びている世代時間の短いカエル、ゼノパス・トロピカリスを用いて、簡便かつ高効率なトランスジェニック技術( I-SceI トランスジェネシス法)を開発し、ゲノム上に散在する保存配列のエンハンサー活性を網羅的にスキャンしてそのトランスジェニック系統を樹立するパイプラインを確立した。さらに眼の水晶体の発生制御遺伝子に関して、その保存非コード領域の解析をおこない、領域特異性を決定するホメオボックス型転写因子がNotchシグナルと協調して下流遺伝子を活性化するしくみを明らかにした。また、I-SceIトランスジェネシス法を用いて、カエルを用いたエンハンサートラップ及びジーントラップ実験系を構築することにも成功した。

本セミナーでは、ポストゲノムシークエンシング、ポストノックアウトマウス研究の時代にゲノムの機能解析をおこなう上での、カエルのシステムの卓越した機動力について紹介したい。