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JT生命誌研究館・国立遺伝学研究所 共同企画 シンポジウム「ゲノムから見る生物の進化」

詳細

日時

2023/10/21(土) 13:00〜16:25

場所

JT生命誌研究館 1F展示ホール

出演者

北野 潤、工樂樹洋、仁木宏典(国立遺伝学研究所)、橋本主税(JT生命誌研究館)

主催

国立遺伝学研究所・JT生命誌研究館

参加方法

参加無料・予約不要

内容

プログラム


●13:00 開会の挨拶

●13:10 講演「生物多様性はどうやって進化してきたか:トゲウオの適応放散を例に」
演者1:北野 潤(国立遺伝学研究所 ゲノム・進化研究系 生態遺伝学研究室 教授)

●14:10 休憩・演者への質問時間(20分)

●14:30 講演「さまざまな魚のゲノム情報から、5億年前の私たちの祖先の姿を推定する」
演者2:工樂樹洋(国立遺伝学研究所 ゲノム・進化研究系 分子生命史研究室 教授)

●15:30 休憩・演者への質問時間(20分)

●15:50 講演「身の回りで進化していく酵母」
演者3:仁木宏典(国立遺伝学研究所 微生物機能研究室 遺伝形質研究系 教授)

●16:20   閉会の挨拶

●16:25 閉会

講演概要

「生物多様性はどうやって進化してきたか:トゲウオの適応放散を例に」
 北野 潤(国立遺伝学研究所 ゲノム・進化研究系 生態遺伝学研究室 教授)


野外で生き物を観察すると「この違いはどうやって生じたのだろうか?」「この違いに何か意味はあるのであろうか?」「これらは別種なのか、同種なのか?」「オスとメスは、どうしてこんなに違うのか?」などといった疑問がふつふつと湧いてくるであろう。野外で感じるこういった素朴なクエスチョンに対して遺伝学と生態学を融合して迫る研究を行っている。トゲウオ科の魚をモデルにして、具体的にどういった遺伝子に突然変異が入ることで形や生理機能が変わるのか、どのような環境条件でそのような変異が生物集団に広がるのかを解明しようとしている。
 

「さまざまな魚のゲノム情報から、5億年前の私たちの祖先の姿を推定する」
 工樂樹洋(国立遺伝学研究所 ゲノム・進化研究系 分子生命史研究室 教授)


背骨を持ったいわゆる脊椎動物のうち、私たちが魚と呼んでいる生物たちはごく一部に思われるかもしれないが、種数では半分以上を占めている。それらが枝分かれしてきたプロセスを辿ると、魚と上陸したそれ以外の系統は二分されるわけではなく、上陸した系統は魚の一部から派生したという表現が妥当である。したがって、系統学的には、魚の多様性は、脊椎動物全体の多様性ともいうことができる。ごく最近、多様な魚のおもな系統からのゲノム情報が出揃った。それらの比較から、私たちヒトのゲノム構成が現在に至るまでにどのような変容を遂げてきたのかがついに明らかになりつつある。
 

「身の回りで進化していく酵母」
 仁木宏典(国立遺伝学研究所 微生物機能研究室 遺伝形質研究系 教授)


私たちの生活のすぐ近くで多くの微生物が生きている。酵母もそれら微生物のひとつである。酵母はバクテリアと異なり、細胞分裂による増殖(栄養増殖)だけでなく、高等生物と同じく減数分裂を行い、胞子を作り増殖することができる。胞子は、栄養が乏しいときなど厳しい環境を生き抜くために、また、広くその分布を広げるために役立っている。そして、栄養増殖から胞子形成への誘導は巧妙に制御されている。しかし、野外からこの制御の突然変異体が見つかって来た。この変異体では常に胞子を作っている。これは何か新たな環境への適応が始まっているのだろうか?