詳細
日時
2025/09/13(土) 13:10 - 16:30
場所
JT生命誌研究館(JT医薬総研ホール)
出演者
小田広樹(JT生命誌研究館 / 大阪大学大学院理学研究科)
船山典子(京都大学大学院理学研究科)
菅 裕(県立広島大学生物資源科学部)
主催
JT生命誌研究館
参加方法
参加無料・予約不要
【現地参加】直接会場へお越しください。
【オンライン】本ページよりライブ配信を行います。
内容
企画趣旨
多細胞動物は進化の過程で高度に組織化され、多様化し、地球上の様々な環境に適応した。この驚異的な多細胞動物の発展はどうして起こり得たのか。その発展のもととなる原始の多細胞動物について考えたい。考える基盤は、ゲノムとそれに基づく実験研究である。多細胞体制を支える細胞の構造や機能に関して原始の多細胞動物にどのような仕組みが存在したのか、原始のどんなイベントが多細胞動物の未来を広げたのか、異なるアプローチで実験研究を行う研究者が最新データを持ち寄り議論する。プログラム
13:10 | 開会のあいさつ |
13:20 | 「細胞間接着分子の仕組みから原始の多細胞体制を考える」 小田広樹(JT生命誌 / 大阪大院理) |
13:50 | 「多細胞動物の始まりと発達を考える ― カイメン動物の研究から ―」 船山典子(京都大院理) |
14:30 | 休憩 |
14:40 | 「動物はどのようにして多細胞化したのか ― 単細胞生物が持つ「多細胞的」遺伝子」 菅 裕(県立広島大) |
15:20 | 談話会 |
16:00 | 閉会の言葉 |
講演概要
「細胞間接着分子の仕組みから原始の多細胞体制を考える」
小田広樹(JT生命誌研究館・大阪大学大学院理学研究科)
現在の地球上では脊椎動物や昆虫など、高度に組織化された多細胞動物が繁栄している。しかし、数億年の単位で時代を遡れば、複雑な形を作れない多細胞動物の世界があったであろう。動物の多細胞体制の仕組みはどのように始まり、どのように発展してきたのか? 私たちは、この問いへの手がかりを多細胞動物の体づくりに重要な細胞間接着分子に求めてきた。現存の多様な多細胞動物のゲノムを比較して分かることは、その接着分子が、サイズの比較的小さい、系統ごとに多様に異なる発展型(派生型)と、サイズが巨大で共通の配列上の特徴を持つ原始型(祖先型)に分けられることである。後者の巨大接着分子がどのような仕組みを持つのか、私たちが今まさに取り組む実験研究である。研究は途上であるが、原始の多細胞体制を理解するために、問題を共有し議論を深めたい。

「多細胞動物の始まりと発達を考える ― カイメン動物の研究から ―」
船山典子(京都大学大学院理学研究科)
単細胞動物から多細胞動物はどう進化し、発達したのだろう?まず細胞分裂後に娘細胞が分かれずに接着する仕組みが獲得され、さらに複数の細胞が協調し組織や個体を構成出来る様々な機構が獲得されたのだろう。そして次第に複雑な組織を持つ多細胞動物が進化していったと考えられる。ゲノム解析などから、現存する多細胞動物の中で最も早く進化したと考えられる動物門の1つ、カイメン動物ですでに、脊椎動物などの持つ遺伝子バリエーションはほぼ全て獲得されていたと分かっている。即ち、多細胞化して間もない多細胞動物はどの様なものだったのか、そしてその後、どの様に高度に発達した組織を進化させていったのかを考える鍵を、カイメン動物に問うことが出来る。私達の淡水棲カイメンの個体形成過程に着目した研究で得た知見と考察などを、素材として提供し一緒に議論したい。

「動物はどのようにして多細胞化したのか ― 単細胞生物が持つ「多細胞的」遺伝子」
菅 裕(県立広島大学生物資源科学部)
動物が多細胞体制を進化させるには、細胞同士の接着や連絡など、多くの新しい分子機能が必要であったはずである。そうした機能を実現するために必要な遺伝子を、動物の祖先はどこから調達したのだろうか?我々は、動物に近縁な単細胞生物である単細胞ホロゾアと呼ばれる生物をモデルに、その謎に迫ろうとしている。単細胞ホロゾアのゲノム解析から、動物の多細胞体制を構築したり、維持したりするのに必要な「多細胞的」遺伝子の多くが、実は多細胞化以前に存在したことがわかった。従って動物の祖先は、多細胞化の際、それまで単細胞体制特有の何らかの役割を果たしていた遺伝子を使いまわすことで、新たに必要となった分子機能を実現したと考えられる。では単細胞であった動物の祖先が持っていた「多細胞的」遺伝子の機能とは何だったのか、最近の我々の研究結果を紹介したい。

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当日配信
2025年9月13日(土)13:10開始