永田館長の論文が ”Scientific Reports” にアクセプトされ、公開されました。
S. Ito, R. Kamei, A. Kasai, K. Nagata
Collagen-specific molecular chaperone Hsp47 in inguinal white adipose tissue promotes high-fat diet-induced inflammatory gene expression in male mice.
Sci Rep. 16 (1) 14301 (2026)
https://doi.org/10.1038/s41598-026-45003-4
慢性的な高脂肪食(HFD)は、脂肪細胞の肥大化、過形成、炎症促進性遺伝子発現の誘導を通じて肥満を導く。脂肪細胞はコラーゲンを含む細胞外マトリックス(ECM)に囲まれており、脂肪細胞とECMとの相互作用は、生理的条件下およびHFD条件下の両方において脂肪細胞のターンオーバーを調節している。これまでの研究では、我々の発見したコラーゲン特異的分子シャペロンHsp47が過食によって増加し、短期間の絶食によって減少することが示されている。しかし、慢性的なHFD条件下におけるHsp47の長期的な寄与については不明な点が多かった。
本研究では、12週間HFDを摂取させたマウスにおいて、脂肪組織特異的にHsp47のmRNAおよびタンパク質発現の増加が認められた。脂肪細胞特異的Hsp47ノックアウト(aKO)マウスでは、特に皮下鼠径白色脂肪組織(ingWAT)において脂肪細胞サイズの縮小、線維化マーカーの減少、および炎症促進性遺伝子発現の低下が認められた。血清解析の結果、HFDによって誘導される代謝悪化はHsp47 aKOマウスで軽減されていた。
これらの結果は、HFD条件下でingWATにおいて増加したHsp47が、炎症促進性遺伝子発現を促進することで脂肪組織機能障害に寄与していることを示唆し、Hsp47が肥満関連代謝疾患に対する潜在的な治療標的となり得ることを示している。

