永田館長の論文が ” iScience” にアクセプトされ、公開されました。
著 者:
S. Wada, K. Uegaki, K. Nagata, R. Ushioda
論文タイトル:
Regulation of the endoplasmic reticulum stress sensor ATF6α through multiple oxidoreductases in the ER
雑誌、番号:
iScience, Volume 29, Issue 6, 116290, June 19, (2026)
論文URL:
https://doi.org/10.1016/j.isci.2026.116290
概 要:
小胞体はタンパク質の成熟を担う細胞小器官であり、成熟に失敗して構造異常タンパク質が蓄積すると小胞体ストレスが生じる。ATF6は、この危機をいち早く感知する小胞体ストレスセンサーであり、細胞の防御システムを起動する司令塔として働く。通常は小胞体膜上に存在するが、ストレスを感知するとゴルジ体へ輸送されて活性化し、分子シャペロンなどの発現を誘導することで細胞を保護する。しかし、ATF6がどのようにストレスを感知し、活性化されるのかは不明な点が多いのが現状であった。
本研究では、ATF6のジスルフィド結合を介した二量体形成に着目し、輸送を促進する二量体と抑制する二量体が存在することを明らかにした。さらに、小胞体酸化還元酵素ERdj5、PDIR、ERp18がこれらの二量体を切り替えることで、ATF6の輸送と活性化を精密に制御することを明らかにした。また、全色盲関連ATF6変異では輸送促進型二量体の形成が低下することも見出した。
本成果は、小胞体ストレス応答の分子機構を大きく前進させるとともに、神経変性疾患、がん、全色盲など小胞体ストレス関連疾患の新たな治療戦略の創出につながることが期待される。

