2011年遊ぶ
写真:カタユウレイボヤの幼生(左)と成体(右)
幼生は環境の良い場所に泳ぎつくと、固着性の成体へ成長する。幼生は尻尾に36 個(片側18 個ずつ)の筋肉細胞を持っている。黒く染まっている部分は筋肉細胞の核。
図1:動物の系統樹
ホヤは脊椎動物に近い「親戚」である。
動画1:泳ぐホヤ幼生
左右に尻尾を滑らかに波打たせる。フィルターをかけて暗くすると、より活発に泳ぎ出す様子がわかる(動画は約13倍のスローモーション)。
図2:脊椎動物の筋収縮のしくみ
基本的には、各筋肉の収縮は、「1 か0」という"デジタルな"過程で決まる。遅筋のように活動電位を出さない筋肉も例外的にあるが、収縮の仕組みは不明である。
図3:筋肉細胞におけるアセチルコリン受容体の異なるしくみ
ホヤ幼生のアセチルコリン受容体は脊椎動物のものと異なり、アセチルコリンを受けとるとカルシウムイオン(Ca2+)を内向きに透過させる。
動画2:ぎごちなく泳ぐホヤ幼生
同じアセチルコリン受容体遺伝子でも、脊椎動物の筋肉ではたらくものと同じ性質だと、ホヤ幼生は上手に泳げない(動画は約13倍のスローモーション)。
図4:ホヤ幼生での筋収縮のしくみ
ホヤ幼生では、アセチルコリン受容体がカルシウムイオンを細胞外から取り込むことで、個々の細胞が段階的に収縮を調節している。
図5:ホヤの仲間に見られる多様な生活史
それぞれの泳ぎ方は生活史の違いを反映している。
西野 敦雄 (にしの・あつお)
2001年京都大学理学研究科博士課程中退。博士(理学)。東京大学新領域創成科学研究科助手、日本学術振興会特別研究員(自然科学研究機構)を経て、大阪大学理学研究科助教。現在はオタマボヤ類の研究を行っている。