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今号テーマ

「わたし」はわたしだけではない

生きものはそれぞれのゲノムの情報を使い、体をつくり、エネルギーをつくり、不要なものを排出する「代謝」を行なって生きています。ところが私一人のゲノムだけでは「代謝」には足りません。食物となり、分解を助け、化合物を合成するなど、さまざまな生きもののゲノムがもつ役割が、ネットワークとなって働くことが必要なのです。
パースペクティブは、野生動物の腸内細菌研究のパイオニアの牛田一成さんが、私たちの代謝を支える内なる微生物を俯瞰します。クマでありながら食べものに竹を選んだパンダ。ジャイアントパンダ飼育に道を拓いたアドベンチャーワールド副園長の中尾建子さんにパンダの誕生秘話を伺いました。おなじみ「発生生物学の静かな革命」は、脊椎動物の手指づくりの奏でる変奏曲を。お待たせしました「生命誌かるた」は、来年のお正月を目指して順次公開していきます。お楽しみに。

背景図: すべての生きものの代謝を表すゲノムデータベース  KEGGパスウェイ map01100 Metabolic pathways より     
KEGG: Kyoto Encyclopedia of Genes and Genomes  / 文献     

 

PERSPECTIVE 「わたし」は
わたしだけではない

体内で共に生きる微生物

生命の歴史の中では、動物と細菌、植物と菌類など、系統の離れた生きもの同士が、生存に必要なものを提供しあい、共に生き始めることがありました。それまで関わりのなかったもの達がどのように一体として生きるようになったのか、ゲノムや細胞の研究から見えてきています。

ヒトの体にも、細菌などの微生物が生息しています。腸内細菌は消化を助けてくれる重要な存在です。生きる単位としての「わたし」は、私の身体だけでなく、そこに共生する微生物を含めた全体だといえます。

今回は、ヒトやさまざまな野生動物に共生する腸内細菌について取材しました。また共生を経て進化した生きものを、過去の記事から紹介します。

アーカイブより

アーカイブより

PAPER CRAFT とび出す食草園のチョウ

アサギマダラ

長距離の飛行「渡り」をするアサギマダラは季節ごとに日本の各地で観察されます。マーキング調査によってその飛行ルートが明らかになってきており、春には台湾・南西諸島から海を越え本州を北上、秋には逆のコースで南下します。日本国内では沖縄から北海道まで観察され世代をつなぎながら移動を続け、中には2000km以上移動する個体も。なぜ海を渡るほどの長距離を移動するのか、未だ問いは残されたままです。

PAPER CRAFT
シロチョウ科
PAPER CRAFT

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