川の泥を網ですくって、スナヤツメの幼生を探す。左から、伊藤一男先生(大阪大学)、青山研究員と私。 カワヤツメを解剖する。 何もない部屋が生まれ変わっていく。 みんなの苦労の結晶、発生のオブジェ。スナヤツメ、ゼブラフィッシュ、アフリカツメガエル、アカウミガメ、ニワトリ、ラットのそれぞれの個体発生において骨ができていく様子がわかる。

特別展「生き物を透かしてみれば…骨と形一骨ってこんなに変わるもの?」が開催中です。

この展示では骨が組み合わさった骨格に着目し、その進化と発生を取り上げた。今回は研究を表現につなげるためのセミナーをはじめとし、新しいことへのチャレンジの連続。パネル主体になりがちな展示から、一歩進んで立体物を積極的に使おうというのもその一つである。進化と発生をテーマにしたオブジェなど、合計4つを置いた。

たくさんの標本は、多くの方の協力で全国から集まった。こちらが希望する成長段階に合わせて固定してもらったり、育ててもらったりとお願いのし通しだった。何よりも今回のクセモノはヤツメウナギとカメ。

発生のオブジェの中で使うスナヤツメは、青山裕彦研究員と採集に行った。胸まである釣り用のズボンを穿き、網を持ち、川に入って初対面。なんだかニョロニョロした巨大ミミズのようだった。知識が先で、実物を後から見る。こういうことは大人になると多くなるんだなあ、としみじみ。展示を見る皆さんには本物を見て、何だろうこれは?と思ってほしい。きっと、サイエンスはそこが出発点だから。川の中をざぶざぶすること4時間近く。結局、私たちが採集したスナヤツメは産卵がうまくいかなかったのだが。同じヤツメウナギでも50cmの大きなカワヤツメは、新潟からわざわざ送っていただいた。こちらはプラスティネーション(水分をシリコン樹脂に置き換えた標本)され顎のない魚として展示に登場する。

最大の難関は、カメ。ウミガメは保護動物なので、当然勝手には捕れない。展示用であればと、貴重なサンプルを名古屋市水族館と熊本大学から送っていただいた。集めたたくさんの標本は、株式会社 京都科学の皆さんのおかげで美しく展示された。

「骨格の研究」が、研究者→私たち→京都科学とリレーされ、表現できたと思う。貴重な標本たちが作るオブジェ。標本たちが作る空間を、ぜひ楽しんでください。

(工藤光子/本誌)