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今年のラボの研究成果

今年もラボから論文が出ました。プラナリアやオオヒメグモ、イチジクなど身近な生きものを見つめ、遺伝子から形や生態を丁寧に読み解きました。

細胞増殖を続けることで幹細胞が維持される(形態形成研究室)

プラナリアを用いて、細胞の増殖と分化について調べた研究成果です。

論文情報:

Sato Y, Umesono Y, Kuroki Y, Agata K, Hashimoto C.

Proliferation maintains the undifferentiated status of stem cells: The role of the planarian cell cycle regulator Cdh1

Dev. Biol, Vol. 482, 55-66


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プラナリア

種分化のメカニズムをイチジクとイチジクコバチの絶対送粉共生系から解明(系統進化研究室)

系統進化研究室で長年取り組んできた、「イチジクとイチジク コバチの共生関係はどのように築かれてきたのか」という 研究の集大成となる論文です。海を渡ったイチジクが、 移入先でコバチとの関係を再構築する中で、新たなパートナーの進化が促された可能性を指摘しました。

論文情報:
Su Z.-H., Sasaki, A. Kusumi, J. Chou P.-A., Tzeng H.-Y., Li H.-Q., and Yu H.
Pollinator sharing, copollination, and speciation by host shifting among six closely related dioecious fig species,
Commn. Biol. 5, Article number 284

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イチジクコバチと共生するイチジク5種

卵の中の細胞をバラバラにしても、からだの軸がコンピュータで再現できてしまう不思議(細胞・発生・進化研究室)

本研究では、シングルセルRNAシーケンシングとシングル核RNAシーケンシングと呼ばれる先進技術を胚盤期のオオヒメグモ胚に対して初めて適用し、これらの技術がクモ胚の中に生じる遺伝子発現のパターンを高い精度で再構成できることを明らかにしました。

論文情報:

Yasuko Akiyama-Oda, Takanori Akaiwa, Hiroki Oda

Reconstruction of the Global Polarity of an Early Spider Embryo by Single-Cell and Single-Nucleus Transcriptome Analysis

Front. Cell Dev. Biol. 10:933220. doi: 10.3389/fcell.2022.933220 オープンアクセス論文 (BB CY 4.0)

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解析に使用したオオヒメグモのクモ胚

細胞の動きを模倣する数理モデルを構築し、コンピュータ上でクモ胚の形状変化を再現(細胞・発生・進化研究室)

生物の発生や進化を研究する1つの方法に、数理モデルを用いる研究方法があります。本研究では、クモ胚の初期の体軸形成の細胞集団の動きをコンピュータ上で模倣し、クモ胚の初期の発生過程の再現を可能にする数理モデルをつくり上げました。クモを含む節足動物の形態の進化をコンピュータ上で再現する試みの第一歩となる成果です。

論文情報:

Motohiro Fujiwara, Yasuko Akiyama-Oda, and Hiroki Oda

Virtual spherical-shaped multicellular platform for simulating the morphogenetic processes of spider-like body axis formation

Frontiers in Cell and Developmental Biology 10:932814. doi: 10.3389/fcell.2022.932814


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実際のオオヒメグモ胚(上)とコンピュータモデルの胚(下)

逸脱して進化してきた ”変わりもの” 遺伝子がクモの初期卵で大事な役割を(細胞・発生・進化研究室)

節足動物の初期胚の多様性について、これまで昆虫以外では分子レベルの仕組みがほとんど分かっていませんでした。本研究では、遺伝子重複を経て祖先型遺伝子から逸脱して進化してきた、”変わりもの”と言えるような遺伝子が、オオヒメグモの初期胚で体づくりを決める重要な役割を果たしていることを明らかにしました。遺伝子の新たな進化とともに動物の体づくりの過程が多様化してきたことを示唆する研究成果です。

論文情報:

Sawa Iwasaki‑Yokozawa, Ryota Nanjo, Yasuko Akiyama‑Oda and Hiroki Oda

Lineage‑specific, fast‑evolving GATA‑like gene regulates zygotic gene activation to promote endoderm specification and pattern formation in the Theridiidae spider

BMC Biology 20: 233

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