2014年間テーマ うつる
註1:フェノロジー
動植物の示す現象と気候や気象の変化などの関係、またはその研究をする学問。生物季節(学)。
写真1:一斉開花中のランビルの森。真っ白な林冠は開花中のフタバガキ科Dryobalanops aromatica。同じ種類の樹は疎らに生えるので、一時期には開花している木はポツポツと見られるだけである。
図1:ランビル国立公園で観察された開花・結実している個体の割合(酒井ら、未発表データ)
図2:一斉開花現象とその直接要因と進化要因
写真2:ランビル国立公園に設置された林冠観察用のクレーン。ゴンドラに人が乗り込み、林冠にアクセスする。林冠で葉や花に触れることができる。
写真3:Shorea beccarianaはいい匂いのする黄色の小さな花をつける。最大樹高は50mを超え、林冠をも超えた突出木ともなる。
図3:気温、降水量の関係と新芽サンプルの採集ポイント
1と2の間に乾燥がおきた。
図4:SbSVP遺伝子(花芽抑制遺伝子) SbFT遺伝子(花芽形成遺伝子)の発現量の比
図5:シロイヌナズナへの遺伝子導入実験
フタバガキ科Shorea beccarianaで開花前後に変化が見られたSbFT(右)、SbSVP(左)の遺伝子を導入し、過剰発現させた。中央が野生型(コントロール)。右の個体は、野生型よりも早く開花した(花芽分化の促進)。一方で、左の個体は野生型よりも遅く開花した(花芽分化の抑制)(撮影:小林正樹)。
註2:ポリネータ
植物の花粉を運んで受粉を助ける動物。主に昆虫や鳥などである。
写真4:フタバガキ科 Dryobalanops aromaticaの主要なポリネータであるオオミツバチ(Apis dorsata)。オオミツバチは一斉開花するとどこからともなくあらわれ、営巣する。一斉開花中は、巣の数もどんどん増えていく。そして開花が終わるとまたどこかに去っていく。
図6:3回の開花イベントでのShorea laxaの健全種子と被食種子(直径1cm以上)の割合
竹内やよい(たけうち・やよい)
2006年京都大学理学研究科生物科学専攻博士課程修了。総合地球環境学研究所・プロジェクト研究員、日本学術振興会 特別研究員、総合研究大学院大学・特別研究員を経て2013年より国立環境研究所生物生態系環境研究センター研究員。