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PAPER CRAFT

っぽの生命誌❸

イヌがしっぽを元気に振る様子や、セキレイが長い尾を上げ下げするのを見ると、しっぽが心を表しているようで、私たちにもしっぽがあればとうらやましい気持ちになりませんか。おまけのようにも思えるしっぽですが、実は、生きものの多様な暮らしをとてもよく表しています。しっぽのある生きものをつくり、端っこに宿る知恵を身近に飾りましょう。

鳥の仲間 ツバメ

鳥の仲間の仲間ツバメ
鳥の仲間の仲間ツバメ

河原を飛び回り春を告げるツバメは、駅やお店の軒先などで巣づくりする身近な鳥です。春につがい夏にかけて子育てし、夏の終わりには、その年生まれた若鳥とともに、タイやベトナム、インドネシアの島々などに渡って、越冬します。小さな体で数千キロの旅をする飛行のスペシャリストといえるでしょう。

ツバメの羽は、体に対して大きく長く、体は小さく流線型をしているので、羽ばたかずとも上手に飛ぶことができます。しかし、このような飛び方は、飛んでいる虫を捕まえるような機敏な動きには向きません。そこで尾羽を使い、揚力を操ることであの素早い動きを可能にしているのです。

ツバメの尾羽といえば、燕尾服を想像するように、中央が短く外に長く伸びた形が特徴ですが、これをもつのはオスです。長く美しい尾羽をもつオスがメスに選ばれます。尾の白斑が鮮明だと切れ込みが深く見え、尾の魅力が引き立つようです。その一方で、長い尾羽は餌を取るのには邪魔で、尾の短い個体に比べて栄養状態が悪いという調査結果があり、生殖に有利でも生存には不利という説もあります。

美しいオスを好むメスの選択によって多くの子孫を残せば、命の危険があろうと美しさは進化するとダーウィンは考えました。飛ぶツバメの姿に進化のしかけが見えてきます。

参考文献:
『ツバメのひみつ』長谷川克ほか 緑書房(2020)
『ツバメ観察事典 (自然の観察事典)』小田英智ほか 偕成社(1997)

 

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5/18(土)13:30〜15:45

虫の会(拡張版)第三回 「ピン留め」と「退縮」で作る昆虫の鋭い構造