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研究館より

中村桂子のちょっと一言

2022.09.15

子グマ連れて行きますよ

北海道の美唄に行ってきました。最近ほとんど遠出をしていませんので、久しぶりの飛行機です。夏休み中だったこともあり満席でしたが、私は飛行機に乗ったら席にすっぽりと入り込んで本を読むか、ぐっすり眠るか。いずれにしても自分だけの空間にいる感じになり、これが好きなのです。地面からちょっと離れているだけですが、小さな窓から見えるのは空だけ(内側に座れば)ですから。短くて残念でした。

美唄は、イタリアで大理石など石の彫刻を作っていらっしゃる安田侃さんの故郷です。丁度美唄に滞在中で、作品に腰掛けながらお話し合いを楽しみました。牧草が一面に生えた広場には40点を越える作品が置かれ、子どもの遊び場にもなっているのでした。登ったり、滑り降りたり。子どもにとっては作品の市場価値など無関係です。どう遊ぶかの工夫が一番。広い空の下で大きな石と遊ぶなんて羨ましい限りです。

安田さんは、少し奥の森の中が気に入ってそこに暮らしていらっしゃるのだそうですが、クマが出るとか。そう言ってはいけません。クマがよい餌場としているところに家を建てたのです。先日も、「子グマがいて子どもたちに危ないという知らせがあったので離れた場所に連れて行きますが、怒ったお母さんグマはその辺にいるので気を付けて下さいと言われて、オイオイですよ。」だったとのこと。危ない話ですが、なんだかとぼけていて大笑いしてしまいました。「そんなに笑わないで下さいよ。」とたしなめる安田さんも笑っています。

子どもたちもクマに気を付けてね、です。最新兵器から落とされる爆弾に気を付けてなどとは決して言いたくありません。

美唄は、農と食の仕事で行ったのですが、その話はまた。

中村桂子 (名誉館長)

名誉館長よりご挨拶