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研究館より

表現スタッフ日記

2022.10.04

生命誌の集いの場@映画館

映画は、映画館でスクリーンにかかって初めて映画になる。そう思って、生命誌の映画に取り組み始めたのは、2011年に、ちょうど翌年度計画の準備を始めた頃でした。2013年に創立20周年を迎えるJT生命誌研究館の周年事業の一つとして、当時の研究館での出来事を通して「生命誌のこれまでと、今、そしてこれから」を伝える作品にしようと思ったのです。
この時、私は企画という立場で、ドキュメンタリーの藤原道夫監督にお願いをして、結局、3年かけて劇場公開にしていただきました。「水と風と生きものと 中村桂子・生命誌を紡ぐ」(2015年)という2時間の映画です。副題にある通り、生命誌研究館を構想し実現した中村桂子館長(現・名誉館長)の人物像を描く記録映画にもなっています。

今、各地の映画館で上映していただいている映画「食草園が誘う昆虫と植物のかけひきの妙」は、2020年4月にスタートした永田和宏館長時代に、新しい企画展示に取り組む、また同時にコロナ禍の下で活動する研究館の日常を描く記録映画です。「チョウやコバチや草花など身近な生きものを見つめる研究をし、その面白さを皆でわかちあうために表現をする。そのように表現をすることが、<私たちは、生きもののつながりの中で生きている>ということを、改めて、考えることになる。」こんな風に言葉に書いても、なかなかピンとこないところを、映像で表現することで、なるほどと思っていただけることを願って作りました。今作では監督をつとめた私も研究館のメンバーの一人です。私自身、研究館で20年ほどはたらいていて、ここは、小さな組織だけれども、なんだかとても面白いことを、しかも大切な仕事をやっているところだと思っています。<SDGs>を持ち出すまでもなく、生きていることを探り、その知を共有し、これからの社会に生かすことは、間違いなく大切なことだと思います。私たちも生きものなのですから。

各地の映画館で、上映の際にお招きいただく監督舞台挨拶などで、こんな風なお話をしています。出演者として他のメンバーや、ナナフシを伴って伺ったり、劇場にミニ・食草園を用意したりして上映後、ご来場の方々と歓談しています。今年の夏休みに、関東、関西、九州などで行った上映とイベントの記録をまとめましたので、その様子をこちらでご覧ください。

9月の前半は、ちょっと上映がお休みでしたが、また各地で順次上映中です。10/2(日)は名古屋のシネマスコーレへ舞台挨拶に伺いました。9/23(金)から始まった宮崎キネマ館での舞台挨拶はオンラインでしたのでその記録動画はこちらからご覧になれます。続いて10月は山口と北九州で、11月は大分、佐賀、広島、宝塚で。上映スケジュールはこちらでご確認ください。宝塚では<ミニ・食草園>も設置する予定です。

そのほか、来年の春休み時期での上映も予定されていますし、関東、関西でも、新しい上映の機会も開拓、調整中です。さらに劇場上映が終了した地域では、各種団体による自主上映会も受け付けますので、ご希望があればお問い合わせください。

さて、JT生命誌研究館は、来年、創立30周年を迎えます。その節目の記録映画に、今、取り掛かり始めたところです。