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研究館より

ラボ日記

2020.05.13

MacでRNA-seqデータ解析マニュアルを公開

 専門分野に関係なく、生物学に関わっていると「RNA-seqのデータ」とか「トランスクリプトーム解析」というものに触れる機会が増えているのではないでしょうか。個人的には、生物学の基礎知識とか基礎技術というレベルで浸透していくのではないかと予想しています。そう、今のPCR +電気泳動のような存在。

 しかも、SRA(Sequence Read Archive)など公共のデータベースには様々な生物のシークエンスデータが登録されていて、ダウンロードすれば誰でも(研究者じゃなくても)解析研究に挑戦できる世の中になりました。データベースにシークエンスリードを登録した研究者自身、自分の研究に関連するデータはしっかり取り出しているとは思いますが、興味の対象になっていない遺伝子や現象については見過ごされたままになっているかもしれません。もったいない。誰かが解析を行って、しっかり新しい知識として抽出するべきではないでしょうか。

 というわけで、これから解析研究に挑戦してみたいと考えている全ての人の参考になることを目指して、RNA-seqデータ解析プロトコールを公開しました。元々はラボメンバーのために作成したマニュアルでしたが、初学者がつまずきやすいところに解説を加える等の加工を行いました。シークエンスデータ解析に関しては素晴らしい入門書が何冊も発行されていますが、それでも難しいと感じる人が、入門書の手前の予備校的に使っていただくのも良いのではないかと思います。NGSとはなんだ?とかトランスクリプトームとはなんだ?といった解説もありますので、入門書の手前の基礎知識編としても役立つかもしれません。

 また、生態学など実験系の研究テーマを抱えている学生さんで、COVID-19の影響による自宅待機で調査や実験ができないと困っている場合、公共データベースとこのマニュアルを使って話題の一つに加えていただくのも良いのではないかと思います。

 今後も質問等をいただいた場合に、初学者にとって解りにくかった所を修正したり加筆したりしていく予定ですので、末長くご活用ください。

MacでRNA-seqデータ解析

アゲハチョウを研究材料として、様々な生き物がどのように関わり合いながら「生きている」のか、分子の言葉で理解しようとしています。