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研究館より

ラボ日記

2021.03.15

「変わらないこと」の尊さ

11月のラボ日記で「できれば年内,遅くとも年度内には完成させたい」とのたまわった論文原稿の執筆に取り組んでいます。ラボ日記を書くだけの余裕はないよ,というのが本音ですが,担当者に怒られそうなので,気分転換を兼ねて(そんな軽い気持ちで書いているのか,と,これはこれで皆様からのお叱りを受けそうです…)論文執筆という過酷な作業の一端をご紹介してみたいと思います。

研究者によって流儀は様々と思いますが,私の場合,大体以下のような流れで執筆します。
①発見の概要,議論したいポイントのリストアップ(実際は普段の実験を進めているうちから少しずつ書き溜めておきます),並行して図表の整理。②各ポイントに関してある程度まとまった文章を書き,それらが最もスムーズな流れとなるよう順番を調整。ここまでは日本語。③英語化。日本語で思考していると脳内補完のせいで言語化されない「行間を読む」要素が必ずあるため,英語にした段階で内容や順番の再調整。寝言が英語になるくらいまで煮詰まったところで,④共著者に原稿送付。そこで出た意見を反映させ,⑤英語のnative checkを受けて完成!

あれ?書き出してみるとそこまで大層な作業ではないような気が。ある程度まとまった文章を書く人であれば誰しもが似たような手順でこなしていそうです。毎回ウンウン唸って体重も3kgくらい落ちるのではないかと思うくらい(あくまで主観。実際はお菓子の消費量が増えるので…)消耗して執筆する羽目になるのはなぜなのでしょうか??

初めて論文執筆をしたのが10年前の3月でした。こうして変わらずに研究を続けられていることに,あらためて感謝の念を禁じえません。

宇賀神 篤 (研究員)

所属: 昆虫食性進化研究室

現在はアゲハチョウの脳の研究を進めています。これまでの研究はリサーチマップを参照。