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研究館より

ラボ日記

2021.04.15

アクセス急増という残念なお知らせ

 今年1月のある日、「カマキリは積雪量を予測していない」という過去のラボ日記にたくさんのアクセスがあったという“残念な”報告を受けました。たくさんのコンテンツがある当館のウェブサイトで、11年も前に書いた一本の記事が全体の10数%ものアクセスを記録しました。通常であれば、当館のコンテンツをたくさんの方に読んで頂けたのですから喜ばしいことなのですが、この記事に関しては事情が異なります。

 このラボ日記では、僕の恩師である安藤喜一先生が、カマキリが冬季の積雪量を予測して雪に埋もれないギリギリの高さに産卵するという“定説”と戦っており、科学的に完全に否定したという活動を紹介しています。

 生物学を学んだ人から見たらツッコミどころ満載の学説なのですが、話題として魅力があるらしくテレビ等でたびたび取り上げられるなどして一般の方々に広まってしまったため、なかなか消えないという問題が起きています。今でもマスメディア等で取り上げられる事があるようですね。だが時代は変わった。最近はマスメディアが取り上げた話題をすぐに検索して信憑性を確認するという人が増えたようで、突発的なアクセス急増につながっていると思われます。

 それで、この突発的なアクセス急増の何が“残念なお知らせ”なのかというと、検索による需要がまだあるということは、この間違った学説がまだ誰かに信じられていて消えていないということなんですよね。マスメディア等で取り上げられることがなくなって、もう誰も知らないという話になって、この記事が検索されることが全くなくなる日が来ることを願っています。

アゲハチョウを研究材料として、様々な生き物がどのように関わり合いながら「生きている」のか、分子の言葉で理解しようとしています。