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中村桂子のちょっと一言

館長の中村桂子が、その時思うことを書き込むページです。月二回のペースで、1998年5月から更新を続けています。

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生命誌版でさまざまな人とつながる

2014年9月1日

8月9日(土)と10日(日)の2日間、長野県飯田市で「生命誌版セロ弾きのゴーシュ」の公演をしました。全国の人形劇団が集まり、480もの舞台が繰り広げられる人形劇フェスタへの参加です。20周年記念事業として3月1日に演じた時の観客は、生命誌を応援して下さっている方でしたが、今回は、人形劇としての参加です。演出の沢則行さんが長い間チェコで活動しているとは言え、日本の人形劇界で重要な位置を占めていることから、要請されての舞台でした。乾いた現代社会と湿り気のある豊かな生き物の世界との対比、「生命の音」が乾いた社会を動かすという生命誌の願いをわかっていただけるかしら。それが心配でしたが、公演をご覧になった方が大勢生命誌研究館の出張展示に足を運んで下さったと聞いてとても嬉しくなっています。生命誌なんて初めて聞いたという方もあり、この広がりは大切にしたいと思います(出張展示を川本喜八郎人形美術館のロビーでしましたので、川本さんのお人形を見ました。NHKで放映された「平家物語」や「三国志」の人形たちのすばらしさに圧倒されました。さまざまな技術開発も含めての総合芸術で、「継承されるのでしょうか」と伺ったらお答えは「No」でした。残念ですが、継承とはそもそも難しいものですね)。

話を元に戻し、これまでも生命誌版の「ピーターと狼」「動物の謝肉祭」、更には、朗読ミュージカル「いのち愛づる姫」などを創り、演じてきましたが、音楽・美術・演劇の方との協同作業は実は創る過程が楽しいのです。一昨年、20周年の作品として東日本大震災のことを考えながら「セロ弾きのゴーシュ」を選び、沢さんにメールをした頃のことを思い出します。そこから次々と人のつながりが生れ、幸い関わり合った人が皆んな楽しかった、良かったと言って下さる一つのグループができました。途中、とんでもないこと始めちゃったかなあと思うことも度々あったというのが正直なところですが、でも楽しみました。この楽しさは一度味わったらというところがあります。そろそろ終りかなと思う一方、いつかまたできるといいなという気持があることは否めません。まわりに迷惑をかけない程度で。

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