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中村桂子のちょっと一言

館長の中村桂子が、その時思うことを書き込むページです。月二回のペースで、1998年5月から更新を続けています。

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謙虚さを求められているように思うのですが

2018年8月1日

40℃を超える気温を日本で体験することになろうとは思いませんでした。子どもの頃の夏休みの日記に気温を書いていた頃は30℃を超えることはなかったように思うのです。その後街がコンクリートとアスファルトになっていくにつれて暑くなったように思います。もちろん、地球全体の温暖化も関わってのことでしょう。

昨日、御近所の方が御自身の測定値を見せて下さいました。気象庁の発表では東京は39.5℃。自宅の庭で芝生は38℃、柿など大きな樹のあるところは35℃だったとのこと。同じ時に隣にあるアスファルトで固められた駐車場は44℃でしたよとそこだけ赤字で書いた図になっていました。近隣のミドリを大事にしましょうというお仲間なので、植物は景観だけでなく気温の調節の役もしてくれますと開発一辺倒の人たちに伝えようという努力の一つです。44℃に比べてちょっとホッとした35℃だって体温に近いのですけれど。

この暑さで東京オリンピックが話題になっています。私は東北の復興に専念すべき時に東京で建設ラッシュを起こすのはおかしいと思ってきましたが、思わぬ課題が出てきてしまいました。

豪雨に襲われたかと思えば、雨がまったく降らない高温に悩まされ、自然の大きさの前でなす術なしというところです。なぜこんな気候なのか、現状の説明はあってもこうなった原因は誰も教えてくれません。わからないということなのでしょう。自然はわからないことがたくさんあると改めて思い知らされます。

眼の前の華やかさを求めての行動ばかりせず謙虚さをとり戻しなさいと言われているのではないでしょうか。近年次々と起きた災害への対応をまず第一にと。

P.S. このところ何度か触れてきた『ふつうのおんなの子のちから』(集英社クリエイティブ)がやっとでき上りました。最近の気持です。本屋さんでパラパラと見ていただけるとありがたく存じます。

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