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2025.10.06

マリーゴールドを食べるナミアゲハ?

holly

はじめまして。我が家の花壇で成長しているナミアゲハの幼虫について教えて頂きたく投稿致します。
花壇には小さな柚子とレモンの木が4本あり、そこにナミアゲハが卵を産んだのですが、幼虫の食欲に負け4本とも丸裸になってしまいました。
まだ1〜3令の幼虫もたくさんいて、この先どうするんだろうと見ていたところ、翌日からすぐ近くのマリーゴールドの植え込みに移動しました。
実際に葉を食べているところは見ていませんが、マリーゴールドの葉にはたくさんフンがあり、いつの間にかモノトーンの幼虫が消え、終齢幼虫が何匹もマリーゴールドの葉にくっついています。
本来の食草以外の植物を代用食として、脱皮を繰り返して終齢幼虫にまでなることはあるのでしょうか。
見た目上、小ぶりですが普通のアゲハの幼虫のように育っています。
また、この子たちはこのあと蛹や蝶になれるものでしょうか。
もし同様なケースをご存知でしたらお聞かせいただけますと幸いです。

2025.10.11

1. 尾崎克久(昆虫食性進化研究室)

お庭での貴重な観察についてご質問いただきありがとうございます。ナミアゲハの幼虫たちのたくましい生命力には驚かされますね。

【ナミアゲハはマリーゴールドを食べて成長できる?】

結論から言うと、稀ではありますが、ナミアゲハが本来の食草(ミカン科)以外の植物を食べて終齢幼虫まで成長することはあります。
(https://onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1111/ens.12377?utm_source=chatgpt.com)

アゲハチョウの仲間には、セリ科やウマノスズクサ科など、様々な植物を食べる種がいますが、その中にはキク科の植物に適応した種も存在します。ナミアゲハは基本的にミカン科の植物しか食べませんが、食草がなくなってしまった場合などに、例外的に近くにある他の植物を食べることが報告されています。

実際に、ナミアゲハの幼虫がキク科植物を食べたという学術的な記録もあります。お庭の幼虫がモノトーンの若い幼虫から、緑色の終齢幼虫にまで育っているとのことですので、キク科のマリーゴールドを代用食として成長している可能性は高いと考えられます。

【このまま蝶になれる?】

無事に蛹になり、蝶にまでなれる可能性は十分にあります。

ただし、本来の食草ではないため、餌としての条件(栄養価や毒成分)の違いなどから発育が順調に進まないケースも考えられます。例えば、成虫になった際に少し小ぶりになったり、成長に時間がかかったりすることがあるかもしれません。しかし、代用食で育った個体が無事に羽化して成虫になった例も確認されています。

興味深いことに、ある研究では「本来の食草ではない植物を食べてゆっくり成長している幼虫は、アリや寄生蜂といった天敵が存在する環境下では、むしろ生存率が高まる」という結果も報告されています。(https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC539780/pdf/pnas-0406490102.pdf)

お庭で起きている現象は、ナミアゲハの柔軟な適応力と生命力を示す、非常に興味深く貴重な観察例です。無事に蛹になった場合、この時期に成長した幼虫は、休眠する蛹(越冬蛹)になることが多く、来春まで蛹のままで過ごします。ぜひ来年の春に美しい蝶として羽ばたくまで、温かく見守ってあげてください。

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