生命誌について
2025.12.04
日本のこれからを支えるものは
やっちゃん
一気に寒くなりました。比較的暖かな地といわれる瀬戸内海も
今日の最低気温は、4度?!真冬並みの冷たさに、この冬初のエアコンのお世話になっています。
生命誌館のみなさまは、生命のしくみへの探求に勤しみ、ワクワクする研究を続けられていますね。引き続き、こどもたちの目が輝く素晴らしい展示を生み出してください。
さて、今回の名誉館長のお話を読みながら、宮沢賢治の声が聞こえてきましたのでお便りいたします。
ほんとうの勉強はね、お義理で受けるものじゃなく、からだに刻みつけるようにして学ぶんだよ。
知識を得ることにとどまって、「なぜ、そうなるのか」を問わなければ、「知識」を活かすことも、さらに発展させることもかなわない。問いは、日々の生活の中の、小さな疑問から生まれる。双方向の学びの場がなければ、学校は知識を詰め込むだけの通過点に終わる。知識の量を「評価」する「成績」が、何を表すものか。今の学校が、どのくらいこどもの学びに寄り添っているか。こども自身から学ぶしかありません。
日本のこれからを支えるものは、こどもたちから発せられる問いであり、それに応える探求の道筋を大事にするコミュニティにあると思います。農業学校を取り巻くコミュニティ、農業で繋がるコミュニティ。日本の各地に、ほんものの学びを大切にするコミュニティが増え、繋がることに希望をもちたいです。
原子力潜水艦は、動く原子力発電所であり、より強い放射線被曝の危険と捨て場のない核のゴミを生み出す究極の自滅兵器ですから、もうこれ以上増やすべきではありませんね。
2025.12.04
1. 中村桂子(名誉館長)
やっちゃん様
コメントありがとうございます。
今日は、小さな子供たちと森の中で過ごす森の番人の小西さんからお手紙がきました。森の中で、たまたまタヌキさんが死んでいくところに出会った子どもたちとの話でした。細かなことは抜きにして、「いのち」について、尊いねとか大切にしようねなどといくら話しても、この体験で得たことを超えることはできないと思いました。私が、啓蒙、普及はもちろん教育という言葉にもどこかなじめないのは、「生命誌」がいつも「いのち」とつながっていて、それはこのような形で納得していくしかないと思えるからです。
閉じた人工空間で、コンピュータの作りだす画面ばかり見る社会をつくっていいのかな。
またこの疑問が生まれます。
中村桂子
2025.12.09
2. やっちゃん
タヌキさんに出会った子どもたちは、どんな思いを心に描いたでしょうか?すぐに言葉にはならなくとも、「とても大事なことに出会ったんだ」と感じたのでは?「命」が教えてくれることは、とてつもなく大きい、と私は思います。
今年、瀬戸内海では牡蠣の大量死が起きています。これは何を教えてくれているのでしょう?
秋田から始まり、東北地方のあちこちでクマによる「被害」が報道されています。つい最近、中国地方でも同様に「被害」がありました。
奥深い山の住処に、何か大きな異変が起きているとしか思えません。これまでも、山を削り道路を作り続け、クマの住処を奪っています。いよいよ、クマから異議申し立てがされているようです。
ヒトに害を為すから駆除する。こんな発想は、いずれヒトも住めない環境になることを防げないと思います。
海も山もヒトの経済活動によって壊されているのではないか?2025年は、そんなことを身に染みて感じた一年になりそうです。
いかがお考えですか?ぜひお聞かせ頂きたいと思います。
2025.12.09
3. 中村桂子(名誉館長)
やっちゃん様
狩猟採集時代のの人は、森の中で元気に動き回っていた動物が矢じりにあたると姿かたちは同じなのに動かなくなる。何が消えたんだろう。目には見えないし、触ることもできないけれど・・ここで消えたものが「いのち」と名付けられました。子どもたちは、タヌキを見て、本当の「いのち」を感じたことでしょう。
12月15日の「ちょっと一言」に、今年の「生命誌絵巻」の活躍を書きました。出ましたらお読みください。小西さんとの協力もこの活動の一つです。「生命誌」がよい方向に動いているというのが今年の実感です。クマのことも含めて、今の社会の延長に未来はないと感じ始めた方たちが、生命誌の周りに集まって活動して下さっています。世界を急に変えることはできませんが、こうして、子どもたち、孫たちへと続く未来はできていくと思っています。この道は間違っていない。こんな気持ちを強く持ったのが今年でした。来年もこの道を歩きますので、是非お仲間になって下さい。
中村桂子